Thee Rang 跡地

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現実的な核兵器

 前なにかのエントリ*1で、核兵器は世界のパワーバランスを一気に変える新たな抑止力となったと書いた事がある。核兵器の開発を切っ掛けとして世界の平和の実質的要素であるパワー・バランスの担い手は人間の手から化学の手に渡ったといえるが、パワーバランスはバランスが取れているから平和を生み出すのであってバランスのとれていない状況では現実的な脅威として平和の対極に現れる。

 僕らが考える核兵器というのは非現実的な核兵器だと考えて良い。僕が産まれてからたくさんの戦争が世界中であったが、実際に核兵器が使用された戦争というのは存在しなかったからだ。唯一日本だけが過去の戦争で核による攻撃を受け、僕の生まれ故郷である広島や長崎は阿鼻叫喚の地獄と化した。そういう意味ではおそらく世界中で最も核兵器を現実的なものとしてとらえられる国民は日本人だろうが、しかし非核三原則という大原則が厳然として存在し、まるで核・原子力といえば関係するものすべてを忌み嫌うべしという風潮の世の中で教育を受けた僕にとって、核兵器とは非現実的な兵器以外の何者でもない。

 しかしここ数日、現実的な核兵器の恐怖が鎌首をもたげてきた。そして、いよいよお隣の共和国が核を兵器として使用する実験をするに至り、一気にその全貌を表した感がある。通常のパワーバランスに組み込まれるのであれば、必然的にその核を使用したときがその国の滅ぶときという道理が成り立ち抑止力が働くわけだが、しかし国際的に孤立し様々なプレッシャーに晒された専制意欲旺盛な猜疑心溢れる支配者にその道理が通るだろうか?ほんの少し前、大量破壊兵器を保持しているという理由でとある大国に専制政治を粉砕された独裁者、独裁国家があった。後々この独裁国家大量破壊兵器が本当にあったのかどうかが曖昧にならざるを得なくなり国民から批判の声が多くあがったその大国には、このように自ら諸手を上げて大量破壊兵器の保持と使用を宣言している国家はどのように写るのだろうか?マイケル・ムーアの次の出番はいつになるだろうか。

 もし東京で核兵器が使用されたらと考えると恐ろしい。何も、核弾頭はミサイルで飛んでくるとは限らない。船に乗ってやってくるかもしれないし、首都高の車に搭載された核爆弾が爆発するかもしれない。いずれにせよ、それが計画され実施された段階で日本は国としての機能を麻痺させてしまうだろうし、おそらく報復措置としてアメリカなどによって北朝鮮は火の海になってしまうだろうが、僕はそれを見ることはできなくなるだろう。

 いずれにせよ、核を非現実的兵器として考えてきたこれまでの日本の世論が、今後この現実的な核の脅威に対してどのようなリアクションをするのだろうか、早速日本を代表するとある大新聞社はデカデカと「核実験『成功』」などと大見出しに掲げていて苦笑するより無かったが、ここまで極端ではないにせよあれだけ核や原子力を徹底的に糾弾していた多くの団体には、ここぞとばかりに面目躍如の活躍を期待したいところだ。
 



 

OFF-TOPIC

つい最近腕時計がほしいとかいうエントリを書いたことがあるが、ギミック的にもデザイン的にもものすごくかっこいい時計を発見してしまった。時間の読み方が非常にすばらしいし、デザイン性にも優れている。URWERKというところから出ている時計で、市販もされているようなのだがメーカーサイト(ラインナップも見ることができる。いかにかっこいいか是非確かめてみてほしい)をみたところ、価格を見て愕然としてしまった。70万近い値段なので、しばらく縁はないかな、、、、でも、いつかほしい時計だ。

*1:2006年7月6日『さても不思議な抑止力