Thee Rang 跡地

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東京砂漠

梅したかのように雨が続く。今朝も雨音を聞きながら歩いていると、昨日電車の網棚においてきた500円以上もするコンビニのビニール傘のことを思い出した。安いような高いような微妙な値段つけやがって。不定期なビル街の雨にぶつぶつと文句をつぶやいていたら、ふと、かつて東京砂漠という言葉があったのを思い出した。砂漠どころか熱帯だよとか思いながら詳細な意味が知りたくなったので早速グーグルで調べてみると、「東京砂漠とはよく言ったものだ」みたいな言い回しがたくさん出てくる。気候的に、また、人々の冷淡な様子をたとえる際に砂漠という表現がぴったりなようだ。確かに東京の人々(この表現は東京在住の人たちにとって失礼ですね。東京のほとんどの人間は地方から上京してきた人たちらしいので、この場合は東京の昼間人口という程度でお考え下さい。短絡的表現笑)の反応は恐ろしいほど薄い。そして冷たい!
最もそれが顕著に感じられるのはやはり人が多く集まる電車の駅だ。梅田駅と渋谷駅を一度比べてみてみたい。統計など取ったことはないが、東京の主要駅は人ごみはすごいが一人一人の表情が恐ろしいほど暗くうつむきがちである。私が東京にはじめて(物心ついてから)来たのは就職活動の一環だったような気がするが、第一印象が「人々の顔が暗い」だった。東京にしばらく住んで見て、同じように就職活動で上京してくる後輩を家に招いたときも、確か冒頭で「東京の人たちって顔が暗いですね」といっていた。なぜこんなに違うのだろう?と不思議になるくらい違う。したがって、駅や道を歩いていても関西の人たちに比べて、東京の人間は魅力が薄いと感じる人は結構いるんではないだろうか?以上主観によって述べさせていただき、非常に失礼だと感じた人もいただろうが、ただしかし、一人東京の満員電車に揺られて、上を向いて笑顔を作ろうとしながらそういう事を考える事が多かった。
 もう一つの東京砂漠の意味としては言うまでもなく気候的なものもある。私の地元の四国の香川県では、夏に雨がほとんど降らない。したがって水不足になることが多く、せっかく選手に選ばれた水泳大会に出られない事もあった。満足に料理ができず、学校給食がパンと牛乳瓶だけになった事もあった。2005年も深刻な水不足に悩まされた。その分湿度があまり高くないので快適は快適なのである。現在は政治的な力学や慣習などにより渇水対策がきちんと整っているとは言い切れないだろうが、それでも人々は渇水を克服している。
 かつて東京でも大規模な水不足があったらしい。1964年、1日15時間も断水になるほど深刻なものも見受けられるが、幸い周りを山々に囲まれ水源豊かなこの都市は早期に対策をとり、最近そのようなものがあったという話は聞いたことがない。東京の初めての夏は、暑かった。そして、じめじめしていてまるで観葉植物園の中にいるみたいだった。ただし見える景色はコンクリートとどこにいっても同じ居酒屋、カラオケのチェーン店、殺風景なオフィスで青々と茂る草葉や家よりも高いやしの木はどうにも見当たらなかったが…。
街をあるいていると、スーツを着てると汗が吹き出てくるしいきなりスコールに見舞われて傘を買いに走ったり、まるで亜熱帯の中にいるようだった。
 ひょっとしてホントに亜熱帯気候なんじゃないのか?と思っていろいろと考えていると高校の頃の気候区分の決定方法を思い出した。客観的に検証してやろうじゃないか。気候の決定方法として最も有名なものはケッペンの気候区分というもので、学生時代に覚えさせられた方も多いのではないだろうか。この区分方法によると日本はCfa(温暖湿潤気候) である。他の区分を見回すと、Aが熱帯、Dが亜寒帯、Eが寒帯、Bが乾燥帯、とある。こう見るといかにこのCfaという区分が快適な気候なのかが分かるような気がする。とまあとりあえず気象庁のサイトなんかにいき、いろいろとデータを眺めて東京を分析してみてもどうも亜熱帯どころか典型的な温暖湿潤気候で、しかも愛知県のほうがどちらかというと亜熱帯に近かったりして自分の乏しい知識で打ち立てたしょっぼい仮説を逆恨みした。結果よりも過程が楽しかったので良し。こういう知識って今見るとものすごく新鮮に目に映る。こんなに合理的に、客観的に気候を分類する方法があるなんて考えた人はものすごく賢い!昔は不条理にしか思えなかった計算式も、概念も、今ならものすごくしっくりと受け入れられる。勉強したことを全て忘れ去った後に、大学に入って少しの自由を手に入れ、旅に出、外国の地を踏み呼吸したときに感じた、あの違和感や高揚感の原因が分かったような気がした。というわけで東京砂漠について でした。