Thee Rang 跡地

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台風接近

 風が近づいてきている。三号らしい。東京に来てからはあまり台風を意識したことはないが、香川や西宮に住んでいた頃は台風が来たら雨も風も強くなるので注意深くニュースを見たりしていた。今は奄美大島が暴風域に入っているらしい。昨日、友人から休暇を取って沖縄にダイビングに行く予定だった人の話を聞いたが全く気の毒としかいいようがない。ただ、行き先を八丈島に変更できたらしいのでそれはそれで羨ましいような。
 この台風、日本では夏の風物詩とも言うべきもので源氏物語にも『野分』として登場している程の古参だ。wikipediaによると更に以下のように奥の深さを伺い知る事ができる。

日本では、古くは野分といい、その後颶風(ぐふう)と呼ばれるようになった。「颱風」と言う語が使われるようになったのは明治時代からである。1956年の漢字熟語の当用漢字への書き換えが制定されると、「台風」と書かれるようになった。
「台風」の名の由来は諸説あり、主な説に以下のものがある。

  1. 台湾や中国福建省で、激しい風のことを「大風」(タイフン)といい、その後西洋に伝わり、ギリシャ神話のテュポンの影響でギリシャ式の"typhoon"というつづりで書かれるようになり、東洋に逆輸入され「颱風」となった。
  2. 中国福建省で、台湾のほうからやってくる強い風を「颱風」と言い、それが日本に輸入された。 +アラビア語で、嵐を意味する「tufan」が東洋に伝わり、「颱風」となった。また、英語では「typhoon」となった。
  3. ギリシャ神話に登場する恐ろしく巨大な怪物テュポン(τυφων,Typhon)に由来する「typhoon」から「颱風」となった。
  4. 沖縄(当時は琉球)でつくられた言葉とする説:久米村の気象学者蔡温の造語であるといわれる。

なお英語の「typhoon」は、古くは「touffon」と綴り、16世紀には文献に登場しているため、中国語の「大風」が由来、とする説は不自然だとし、アラビア語起源、ギリシャ語起源の二つの説が有力である。

 別にアラビア語起源でもギリシャ語起源でもどっちでもいーなー。

 そういえば東京ディズニーシーで、大嵐に向かって爆弾か何かを打ち込んで爆発させて、嵐を消滅させるとかいうアトラクションがあった。前方のスクリーンをみながら、座席が動いて、水滴などのリアルな演出によりあたかも自分たちがその飛行機に乗り込んだような感覚に陥るアトラクションで、僕は結構好きなやつなのだがどうやらその理論は現実的には不可能らしい。台風のエネルギーは広島に投下された原子爆弾の数千倍というから、とうてい敵わないと書いてある。それに匹敵する爆弾も現在はあるのだろうが、そんなものを使ったら台風より先に地上がめちゃくちゃになってしまう。

 ちなみに、命名規則は以下の通りらしい。

日本では発生した順に1号、2号と名前を付けていく。正式には、西暦年の下2桁と組み合わせて「台風0321号」のように表記する。しかし、4桁の番号では、100年後には過去にすでに番号が付けられている台風と同じ番号が付けられるようになり、番号が重複することになるため(例:2000年の台風1号「台風0001号」と2100年の台風1号「台風0001号」は同じ番号で呼ばれることになる)、「台風200321号」のように西暦年の4桁と発生順2桁の組み合わせの6桁で呼んでいるところもある。特に災害の大きかったものについては上陸地点などの名前を付けて呼ぶこともある(伊勢湾台風など)。

 四桁とか六桁とか、そんな名前の台風は聞いたことがないがそれが正式らしい。以前アメリカのジャズの聖地、ニューオリンズを襲った大型ハリケーンカトリーナ』は記憶に新しいところだ。被害者の多くが黒人の貧困層で、アメリカでの根強い経済格差を全世界に向けて証明した事件だった。住民の多くが、マイカーで遠くに逃げるどころか非難の為の長距離バスのチケットすら買えなかったと言われている。
 余談になるがアメリカでは、なんと経営者と言われる人間以外の収入の平均額が3万ドルにも満たないと言われる。それだけ格差が大きいのだ。国際的な大企業の役員でも数千万どまりの年収(なんと新入社員の5倍から10倍程度だ)の日本はそれに比べて格差は少ないので、大きめの台風が来たからといって街がまるまる沈んでしまって軍隊が出動する大惨事になったりはしない。日本古来の住宅や町作りはそういった大雨洪水などの大災害に対応するようにできており、これだけ地震が多いにもかかわらず世界最古の木造建築がある。
 そもそも日本には台風に限らず地震も多いし、木造建築が主だったので火事も多かった。地震雷火事親父という言葉があるが日本人の生活というのは古来から様々な脅威にさらされてきていたようだ。日本人なら誰もが一度は暗記したことがあるであろう『祇園精舎の鐘の音…』の平家物語冒頭に見て取れる通り人はいつか死に物はいつか消滅する。様々な天災に囲まれた日本人が『わび、さび』『もののあはれ』などの日本人独特の美的感覚を育んでいったのは自然な事だろう。日本人は桜を好む。日本の国花も桜である。しかし桜が咲き誇るのは一年を通してほんの5,6日だ。雨が多い時期なのでもっと短い事もある。しかしその短い期間に美しく花をつけ、潔く散るという姿に日本人は美的価値を見いだす。台風はそんな日本人的美的感覚を想起させるイベントだ。
 というわけで台風が来る季節になりましたが、今年は何発くるでしょうか。10個も上陸して各地で被害の大きかった2004年のようにならないことを祈ります。