Thee Rang 跡地

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水不足とお冷やおかわり

 不足を経験したことがある人はどれくらいいるだろうか?僕は小学校六年生の頃、香川にて酷い水不足を体験したことがある。1992年の事だが、今でも鮮明に記憶に残っている。香川というのは昔から水が足りていなかったらしく、香川県の大部分は讃岐平野というだだっぴろいだけの平野が広がっているのだが、いたるところにため池が見られる。空海が香川で最も大きなため池・満濃池を作ったのは有名な話だし、他にもため池作りの聖人みたいな人を何人か道徳で習ったことがある。(そういえばかつて日本人は水と安全はタダだと信じていると看破したユダヤ人がいたがそれは香川県民には通用しない。少なくとも前者については。)。
 ちなみに水不足になると社会はこうなる。

  • 床屋が営業を停止する
  • レストランが営業を停止する
  • 給食が無くなる(パンと牛乳だけの時期もあった)
  • プールがなくなる
  • 銭湯が閉まる
  • 『ひしゃく』や『ポリバケツ』が飛ぶようにうれる
  • 小学校の校庭の『給水車』に列をなす
  • 風呂が二日に一回になる
  • お皿にサランラップをして使うようになる
  • 『海水を真水に変える装置』の購入を真剣に検討しだす

 ちなみに僕は九歳の頃から水泳を始め、自分で言うのもなんだが結構センスはある方で、いつもスイミング・スクール最短タイムの所に名を連ねるちょっとした水練自慢だった。もちろん学校でも泳げる子は活躍するので、学校を代表して県の大会に選手として出場するという名誉を預かった事があった。僕は有頂天だったがまさにこの年が水不足で、大会はおろか毎日の練習会すらも開催できずに小学校六年生ながら人生の儚さや栄華の虚しさを悟った経験がある。
 これから台風の季節だが、日本は山地が多く、河川が急なので飲料水の確保や治水に悩まされる地域が多い。いつまでも水は蛇口をひねればでてくると考えずに、一つの大切な資源として感謝して使っていきましょう。っつってもいくら原油高とか言うてもまだまだガソリンよりも飲料水の方が高いしなー。
 しかしそもそも水というのは尊い物質であって、我々生命が母なる水から生まれたというのはあながちウソではないだろう。凍らせると体積が増え、四度で密度が最大になるというようなひねくれた性質を持った孤高の存在だからこそ、厳しい冬に氷の張りつめた水面の下で生命の神秘が躍動するという事を可能にしている。(ひねくれた性質を持ってないとすれば氷は凍った瞬間に沈み底に氷が堆積してしまう)。そういう意味では多少おこがましいが地球は水の惑星と行っても過言ではない。人間は2,3週間は何も食べなくとも生きていけるが、水をのまないと3日もぁゃιぃ。まず、5日は持たないだろう。人間が水を欲する事は地球の生命全体の遺伝子が水を欲する事と同義で、なみなみと冷水が満たされたコップを唇につけて傾ける瞬間のあの快感は、奇跡とも言える生命誕生の歴史、もしくは絶対的な神の創造の領域、を理解するための最も原始的な記憶といえるだろう。
 という訳で僕はレストランとか食堂でいつも水とかお茶をガブ飲みする。別に水不足が悔しかったからとか次にいつ水にありつけるか分からない香川県民の性だとか、熱いうどんを流し込むときの癖だとかそういう訳ではなく、上記のような立派な動機があるのであんまごちゃごちゃ言わないでください。