Thee Rang 跡地

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妄想旅行

 生の頃、海外旅行に行くと決めるのはだいたい出発の5日前とか一週間前とかだった。そうだそろそろ旅にいこうと思ったら、家にかえって格安航空券のサイトを開き、電話で予約しておしまい。お手軽なもんだった。
 僕に一人旅のおもしろさを教えてくれたある准教授がいるのだが、彼はすごかった。放浪癖のある人だったが、海外にいくときに持っていくものはカメラ、シーツ、湯沸かし器、それからお気に入りのマグ。これだけあれば、世界中どこに行ってもやっていけると豪語していた。「僕もそんな旅行がしてみたいですよー」とかってふと口にしたときに、「じゃあやろうや、今航空券の取り方教えたるよ」といって、目の前のPCで今ほど大きくなかったエイビーロードを開き、航空券の検索の方法を教えてくれた。僕は情報系のアルバイトをしていたが、彼が管理者だったので代替要員を見つけることには全く苦労しなかった。
 その5日後に、初めての海外ひとり旅へと出掛けた。
 今でもふと、どこか遠くに行きたくなって何気なく航空券を探してしまう事がある。何月何日出発、期間はこれくらいで、こういうプランでいこう・・・などと考え、航空券を検索して現地の宿などを調べて悦に入る。ただの妄想旅行だが、こういうことをしていると次に海外旅行に行けるチャンスが訪れたとき、迷わずに決めれていいのかなと思う。
 実際、昨年の夏期休暇では、前々から妄想していた南フランスレンタカー旅行の実現だったので航空券の手配、レンタカーの手配、ホテルの手配から非常にスムーズに行う事ができた。予算もそこそこに抑える事ができ、大変満足だった。
 行きは、ドバイ経由でニース空港まで。ドバイでのstopoverなので、朝3時ごろドバイ空港について、日があけるまでは空港でうとうと。日が開けたら街に観光に繰り出し、以前ここでも取り上げた全室スイートの「バージュアル・アラブ」を見に海へ。ついでに海水浴を楽しんだあとは、街中の屋台でアラビアの飯を食い、午後は金ピカのStarbucksでコーヒーを飲んで一休み。涼しくなってからは水タバコを観に行ってチャンスがあれば体験し、午後九時にまた空港へ向い、ニース行きの便に乗る。
 なんと航空券は、上記の内容で成田から往復でたったの12万円。日取りも完璧で、文句のつけようのない航空券だった。数十件は電話したが、そこ以外は全て相場は19万〜。格安の幸運なチケットだった。
 ニース着は翌朝なので、そのまま、社販を使って空港で申し込んでおいたHeartzレンタカーに乗り、市内の滞在予定のホテルへと向かう。このホテルは海沿いにあり、一泊二人で7000円というinexpensiveでかわいらしいホテルだ。ここからニースやカンヌ、モナコをレンタカーで周り、イタリアのトリノへ行って駐在中の友人と会食。そして、イタリアの田舎で、ワイナリーを兼ねているホテルへ入り、おいしいワインと地産料理に舌鼓を打つ。部屋はスィートルームで、美しい農園地帯が眼下一帯に広がり、イタリアの風の中でゆっくり読書を楽しむ。。。。
 道順は完璧だ。事前にGoogle Mapでルートは確認しているし、なにより現地でカーナビを頼み、さらにiPhoneGPSも活用する。燃料切れで右往左往する事はあっても、道に迷う要素はどこにもない。尚、ドライブコースは以下のとおり。ニースを拠点に、主としてドライブと素朴な風景を楽しむ行程にしてある。


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 …と、素晴らしい夏期休暇になる、はずだった。
 …しかし、抜き差しならない事情により上記の旅行をする夢はかなわず、今までで一番リアリティのある妄想旅行となってしまった。キャンセル料金は全部で5万円にも及び、金銭には替えられない「機会の損失」は、測りがたいものとなってしまった。
 今でも夢に見るほど悔しいが、しかし今後の楽しみが増えたとして無理やり納得する事にしている。
 つい最近は台湾へと妄想旅行を楽しんだ。4万円台からある航空券を使い、市内のHostelへと滞在。故宮博物館で古代の銘品を愛でてから、台湾屋台でラーメンをくってビールとつまみで乾杯。4連休があれば充分すぎるほど実現可能な計画といえる。
 次に旅行にいくのはどこだろうか、家族を持った今となってはふらっと出掛けるのは難しいが、折を見て挑戦してみたい。