Thee Rang 跡地

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断る方法

 事を断れない人、というのがいる。僕もどちらかというとそういうタイプなので心情はよく分かるのだが、何かを頼まれたときに、それが多少理不尽や不合理を含んでいる物であっても、理ったら角が立つだろうと思いついつい引き受け、後悔してしまうというタイプだ。結局頼まれたとおり遂行できないまま期限がきてしまったり、必要以上に誰かの助けを借りて遂行する必要があったりと、あとで結構な手間をかぶってしまう事になるからだ。
人に何かを頼まれるという事は、その人なりに自分にそれをするよう頼む理由が必ずある。なぜそれをして欲しいのか、それが何故自分なのかを把握していれば良いのだが、それが分からないと返答をする前にそれを探るところから始める必要がある。それが納得いくものでかつ自分にできる事なら快く引き受ければ良いし、そのどちらかが満たされない場合は断って良い。
じゃあどうやって断ればいいか?
上記の通り、物事を頼んでくる人はかならず意図を持っているはずなので、そこを汲んだ上で、かつ思考した結果断ったほうが双方にとってベスト(Win-Win)になるという事をきっちり説明できればいい。
具体的には・・・

A「Bさん、◯◯今日中にやっといてくれない?」
B「あー、◯◯ですか…ちょっとごめんなさい。すいません、できません。」
A「そうなの?ふーん。(なんだこいつ、冷たいなー)」

このケースでは、二回も謝っているのにAの心象はとても悪いものになる。ちょっと相手の意図を汲んでみよう。

A「Bさん、◯◯今日中にやっといてくれない?」
B「あー、◯◯ですか…どうして◯◯が今日中なんですか?」
A「んとねー、実は今日と明日、Cさんが病欠でさ。どうしても明後日午前中までに必要だから。今頼めるのが君しかいなくてさ、ごめんね。」

ここで明らかになるのは、自分を選んだ理由とそれをする必要性である。ここまで分かれば、Win-Winの関係性を築く道筋を探してみよう。

B「なるほど、分かりました。ただ、僕は他の仕事を抱えてしまっていてあまり時間が割けないので、Dさんにお願いしてみてはどうでしょうか?彼なら今日と明日はそんなに忙しくないと言っていましたよ。きっとすぐにしてくれます。」

これは、自分よりかもDさんの方がきちんと◯◯ができると考えた上での逆提案だ。しかし、確かにDさんが◯◯ができるとはいえ、責任回避しているだけのように聞こえる。Aさんの心象はやはり良くないし、「仕事があるのはわかってお願いしてるんだよ」と思うかもしれない。こういう時は、自分が仕事を抱えていたらなぜ◯◯を請けられないかをきちんと説明する必要がある。また、責任回避をするだけではなく、自分ならどうしたらできるかというのを考えて逆提案してみる事で、ただ断っているだけではなく一緒にWin-Winの道筋を考えているという印象を与える。

B「実は自分には今日までの仕事が2つ、明日までの仕事が2つあるんです。ちょっと◯◯に時間を裂けそうにもないですし、もし明後日の午前中までに間に合わせるとしても、間違いや見落としが怖いし、完成度も低いのでAさんを納得させられません。もし明後日一日使って良いというのでしたら、◯◯をお受けできるのですが…。
そうだ、Dさんにお願いしてみてはどうでしょうか?私の方から依頼しても良いですし、彼なら今日と明日は手が開いているので充分な完成度の◯◯をする事ができると思います。」

という感じか。つまり重要なのは以下の事項を押さえ、ロジカルに相手に伝えることである。

  • 頼まれた時点で共同責任者と考える
  • 相手の真意を汲み、隠れた事実や心情を汲み取る。
  • 「自分がするのに必要な要件」「自分が請けたときのデメリット」を相手に理解させる。
  • かならず代替案を提案する。

二番目の相手の真意を汲み取るためには適切なインタビュースキルも必要になるし、三番目の事項を相手に理解できるよう説明するのは結構難しい。代替案を提案するに至っては、なぜ相手にそれが良いのかを納得させるロジックと話術と交渉力が必要になってくるだろう。これらのうち、どれが欠けても相手に良い心象を残せないし、もしかしたら断れないというケースもあるかもしれない。
しかし、上記さえ押さえていれば、相手は自分に対して恨みを持つことなどないだろうし、仮に代替案でうまく行った、Win-Winとなれば自分が何をした訳ではないのに、感謝すらされてしまうだろう。
考えてみると当たり前の事だが、これができない人がとても多い。断るのに提案をする必要があるというのはある種逆説的な気もするが、無理なお願いをされて困ったときほど断る力を磨くいい機会と捕らえ、挑戦してみて欲しい。