ウォーキング

東京に住んでいると、よく歩く。都会人は足が退化してジムに通うくらいしか運動不足を解消できねーだろうと考えていたらコレが大間違いで、はっきりいって大学のころ兵庫県の西宮に住んでいた頃よりはるかに運動量は増えている。原因としてはまず、交通手段として鉄道が発達しているので、「あらゆるところに駅がある」事があげられる。駅があるから、自宅から駅までは歩くという事になる。（自転車を駐輪しようにもお金が必要なぐらいスペースがない。）不動産屋の広告には駅まで○○分というのがデカデカと書いており、驚くべきは駅まで10分とかいう数字がさも近いでしょうありがたく思いなさいねという風に書かれている点だ。健康を維持する目安として、一日に２０分程歩くｘ２を毎日という風に言われている（当社比）ので、はっきりいって通学通勤だけで毎日健康を維持できるほど歩けるという事になる。しかも、徒歩計算は確か時速3.8キロとかで計算している筈なので、普通に歩いているとだいたい１０分と書いてあっても１５分かかることなどはザラだ。当然これは学校や会社への駅からの距離にも当てはまるわけで、自転車を使わない人の場合は家から駅、駅から学校とそれぞれ駅から１０分とすると家と学校を往復するだけで一日分のウォーキング分を達成してしまう。
　もう一つが「駅の広さ」。とにかく駅が広い。乗り換えパターンが多いのでまあ当然ではあると思うのだが、駅の中でも５分以上歩くなど普通だ。しかも人がたくさんいるので、ルートを選択しつつ進まなければならないし、みんな歩くのが早いのであんまりゆっくり歩いていると後ろから足を蹴られてしまう。さらに、駅は建物が古い場合が多いので、エスカレーターがあまり普及していない。世界のTOKYOとは思えないほど階段は古臭くそして長い。まあ昔からある建物にエスカレーターがついていないのは分かるとして、首をひねってしまうのは、新しい駅にもエスカレーターが無い事だ。あんなに工事してたのに、なんでこんな階段だらけなんだ？と歩いていて不思議に思う事が多い。まあ当然理由はあるわけで、全部エスカレーターにしてしまうとプラットフォームに人が溢れてしまい朝や夜などは使い物にならなくなるだろう。しかし全く東京の、特に主要駅というのはコンクリート・ジャングルとでも言うべきもので毎朝毎夜サバイバルに精を出すリーマン軍団で溢れかえっている。もしそんな悲しそうなリーマンを見かけたら、がんばってね、と心の中でそっと声をかけてあげて欲しい。
　そして「電車以外の交通手段の乏しさ」。もちろん休日の買い物や旅行も徒歩ベースだ。悲しいかな駐車場など設ける土地は無いし、２３区内では駐輪場すらままならないという信じがたい程の過密ぶりで、アソビにいくにしても上記の駅まで徒歩○○分！をひたすら歩かなければいけない。気分も良くなってショッピングが進むのも結構だが、帰りはそれを両手に抱えてまた同じ道を往復だ。家に帰ってもせっかく買ってきた素敵な商品達を開ける気力すら沸いてこない。うーん悲しい。どこにいくにもすぐに車を使ったり、バイクをつかったりする地方の人たちは、たまにはこういう都会に住んでいるウォーカーたちの悲哀に思いを馳せて頂ければ、今日雨の中、カバンを持ちながら傘をさしつつコンビにで買った朝ごはんのパンを必死でほおばって会社まで出社した僕の無念も晴れるというもんだ。まったくいい歳こいた人間様とは思えない朝食で、まだニワトリのほうがゆっくり朝飯を食っている。まあ、寝坊したからなんやけどなあ。
　東京の交通インフラは破綻目前だ。毎日のようにどこかの電車でトラブルがあり、平気で万単位の人間をしばらく行動不能に陥らせる。自分が利用する路線がとまろうが、もはやまたか、としか思わない。振り替え輸送なるものに頼ろうとしても、それを思いつく頃には感のいい優秀なウォーカー達がすでに殺到した後だったりする。さてバスかな、と思って外に出ようとするとすでにバス停から行列がすぐ目の前まで伸びているといった有様だ。タクシー待ちの列も同様ですでに長蛇の列。仕方ないからしばらく時間を潰そうか、などと思えるのはまだマシなほうで幸いにして僕はまだ経験がないが、満員電車の中に一時間以上すし詰め状態でたたされたり、途中の線路から降ろされて歩かされたりするパターンもあるらしい。階段が一杯で駅のホームで転がり落ちそうになりながら人ごみをかきわけたりする人たちの映像なんかもテレビや写真で見る事がある。はっきりいって日本の生産性を大幅に下げていると思うし、話題のニート（Not in Employment,Education or Training）達が家に引きこもりたくなる気持ちもよく分かる。破綻目前というかこういう状態は交通インフラ（産業や生活の交通手段の基盤として整備されているもの）としてもう破綻していると言ってもいいと思うのだが、代替手段がないのでやはりそれに頼らざるを得ない。駅の入場制限とか、混雑している時間の値段を上げるもしくは多めの税金を課すとか、なんかないかな。。。とぼやくも、毎朝毎朝、ニッポンという小国が経済大国として世界に影響力を持つようになった理由を実感しつつお世話にならざるを得ない僕の書いたくだらない愚痴を読んでくださってどうもありがとうございました　おわり