Thee Rang 跡地

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経済的な大人の事情

 国済民とは言うまでも無く経済の事で、経済とは国を治めて人々を助けるという事をあらわす単語である。広辞苑を繙くと経済の項には「人間の共同生活の基礎をなす物質 的財貨の生産・分配・消費の行為・過程、並びにそれを通じて形成される人と人との社会 関係の総体。」とある。
 僕は文系の商学部という学部を出ているので、大学にはいった辺りから周りがこの経済についてごちゃごちゃとうるさくなった。経済オタクのような人達もぽつぽつと現れてくる。僕もそういう話が好きだったので教授たちと色々と話をしたし、経済の色々な事を勉強をしていた。何年か大学を過ごした後、就職活動をするにつけ同年代の仲間たちは次々と日経を取り始めたり、経済用語を覚えたりしていた。
 そして社会人になると、これはもっとエスカレートしてくる。日本経済新聞が教科書のように推奨されて、色々な人たちがやれ株式や証券会社やと話題にする。僕の経験だと朝、満員電車にのっていると隣り合った人間の誰か一人が日経を持ち歩いている確率は70パーセントはある。デイトレードやスウィングトレードが流行し、How To本が飛ぶように売れた。
 経済というのは非常におもしろい。
 讃岐弁で言うと、ほんまにおもっしょい。
 皆さんは日本の経済を眺めるとき、どういう観点から見ているだろうか?経済には経済を眺めるためのいくつかの指標が容易されておりそれに沿って眺めるのが一般的だろう。最も一般的なのは企業や銀行などを対象として調査をする日本銀行「日銀短観(英語ではTANKANというらしい、ほんまか 笑)」だろうし、他にも同じく日銀の発行する『金融経済月報』、内閣府が発行する『月例経済報告』、などだろう。ニュースやらなんやらで「緩やかな拡大を続けている」だとか、「景気は回復している」だとかいうあれだ。他にも、民間の研究機関がこういった短観、リサーチを随時発表している。下記に一例を挙げる。

 これらを漠然と眺めるだけでおおよその景気の流れはつかめるだろう。が、これでは他人の言葉をまるまる呑んでしまうようでどうも釈然としない人もいるかもしれない。そんな人達の為に、日本ではざっくりとした統計調査からかなり細かい部分の統計調査まで色々なレイヤーで情報開示が為されている。インターネットの発達というのは本当にすごい事で、少しリンクをたどって数字を読み解けば色々な情報を瞬時に手に入れる事ができる。
 特にここはおもっしょい。『ポケット統計情報』。地味な情報が満載だ。日本に島はいくつあるか?答えは6852個とある。現在ニッポンの人口ピラミッドこうなっている。日本の失業率は高い高いと騒がれてはいるがドイツ・フランスの半分以下だ。東京23区の人口密度をみると鳥肌がたつくらい異常に高い事も分かる。実質GDP成長率を見ると、嬉しいことに日本は堅調に推移している事もわかる。日本が長寿国だというのももはや過去の話だというのも見て取れる。
 さらにおもっしょいのは公定歩合の国際比較だ。アメリカはこの二年間で3→6とだいぶ引き締めてきているし、イギリス・ユーロ圏はそれぞれ4、1あたりで固定されている。日本に目をうつすと、ご存じの通り0.1で固定されている。このゼロ金利政策による量的緩和がいかに苦しい金融政策だったかが一目瞭然だ。先日この公定歩合がとうとう引き上げられるという事が大きなニュースとなった。ちなみにウソか本当か、それを決めた人たちは銀座で美しい着物姿の女性を相手にマスコミに言うよりも早く公定歩合引き上げを息巻いていたとかいなかったとかいう話もある。
 この金融政策という言葉は一見一般的な言葉の様に見えるかもしれないが非常に大事な意味をもっている。詳しくはこちら(http://www.findai.com/kouza/108fin.html)を参照するといいかもしれない。財政政策と金融政策の双方を理解することが経済政策を読み解く重要なカギとなる。「え、金融政策と財政政策ってどう違うの?」っていう人は、この機会に一度目を通しておいても損は無いかと思いますので是非。→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A1%E6%94%BF%E6%94%BF%E7%AD%96
 さて、以上のように経済的な視野から世の中の出来事を見てみると結構おもしろい事があったりする。おもしろいというのは別に学術的におもしろいとか投資に役立つからおもしろいとかではなく、競馬やマージャンと同じである程度の筋は通っているが結果としてこういう風になりましたよ、というのを見て納得ができるかできないかというレベルのおもしろさ、だ。
 先日母と電話する機会があった。母はなんと為替取引でこの一年で70万以上の利益を出していた(!)。どうりで20万のイスを衝動買いしたとか5000円もするうさんくさい?携帯の電磁波をカットするシールを買ったとか景気の良い事を言っていた訳だ。もちろん母に専門的な知識などは何もない。M1とかM2とかからマネーサプライを読み解いて国内消費の行方を推測するなど発想すらも無いだろう。しかし母は大きな利益を得た。ここで僕に出来ることは下手なアドバイスや素人短観ではなく、なぜ母が円をドルに替えてまた円に戻すだけでここまでの利益を出したのか、その理由をいくつか考えるだけにすぎない。
 そんなこと何の役にも立たない。けど、おもっしょい。
 折しも日経社員によるインサイダー取引がつい先日に明るみになった(その後の追求は一切聞かないなー笑)。投資ブームの中で証券会社に口座を開設した多くの人にとってはなんともやりきれない事件だったろう(なにせ彼らの取引で失われたカネが毎朝読んでいるバイブルを作っている社員のポケットに入っていたのだから)が、 電車の中で日本経済新聞を折り曲げて読んでいる人の中にも、母の見事な錬金術を見ていぶかしむ僕の様にほくそ笑みながら経済を楽しんでいる余裕がある人が多くいて欲しい。
 おもっしょい こともなき世を おもっしょく。