Thee Rang 跡地

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130円の晩御飯(晩飯1.0)

 昨日食った晩飯はなんと130円。総額。タイより安い。レシピは

出前一丁一袋 60円くらい
冷凍枝豆ふたにぎりほど 40円分くらい
チーズふた切れ 30円くらい

 これがまたうまい。
 出前一丁のスープと麺にチーズを絡めて食べるのはまた格別だ。さらに、枝豆の素朴な味わいと出前一丁の芳醇な香りが意外とマッチする。豪快に麺をすすり、チーズをかじり、しばし箸を置き枝豆をむさぼる。そしてまた麺をすする。
 味だけではなく、栄養面でもそんなに悪くない。チーズと枝豆でだいぶポイントを稼いでいるはず。
 学生時代はこれでもぜいたくのうちだったから不思議だ。あの頃は晩飯は食べないのがデフォルトだったので、秘蔵の出前一丁(ジャパンで5袋250円ほどだったような気がする)を一袋あけるというのは何かめでたいことや嬉しい事があったときだけだった。チーズなんかはそもそも高いので、あまり冷蔵庫でお目にかかったことがなかったくらいだ。昨日出前一丁の袋をあけながら、よくよくかんがえたら一袋60円であることに愕然とした。社会人というのは一晩に、まず飲み会で4000円、二次会も含めると6,7000円は使ってしまう事がある。それにくらべたらなんとかわいい贅沢だろう。枝豆も、近所の『肉のハナマサ』で、ふたふくろ189円という破格で購入してきた代物だ。これが意外とうまい。解凍も、ざるに入れて水道水のお湯をぶっかけるだけでいいしあとは塩を適当にふって軽くもんで出来上がりだ。およそ40円分の量で十分満足する。
 このように自らの嗜好と経済的事情をうまくマッチさせて安価に仕上げ、自らの舌でじっくりと嗜み腹を満たす晩飯を大学生の晩飯、晩飯1.0としよう。そして社会人になって行きたくもないのにいく飲み会でかまわず5000円札をぴらっと出してろくでもない飯や薄めたような酒しか出てこない上にガツガツ食べられないようなオトナ?の晩飯を晩飯2.0と呼ぼう。そしてもはやその目的は晩飯ではなくなっている。晩飯2.0において意味を成すものは晩飯の主体たる人間同士の交流だとか情報交換とかで、あたかもWEB2.0においてWEBにより万人が情報を発信し回線の向こう側と自在に商業的コミュニケーションをとれるようになった事でツールとしてのWEBの意味が強まってしまったというのに似ている。晩飯2.0において晩飯自体はあくまで前提であり必須のツールにすぎない。 
 無論晩飯2.0は悪だという認識は全く持っていない。むしろ僕がその晩飯2.0に触れられる環境にあるというのはいかに今の僕の状況が恵まれていて経済的にも精神的にも余裕があるかという事を示してもいるのだが、晩飯2.0はWEB2.0と同様大きな格差を内包する。晩飯2.0でも数万出せばいくらでも本当においしい料理を出す店にありつけたりする。別に数万でなく数千円でも、皆が知らないような店や皆が知りすぎていて予約もままならないような店であればそれも可能な事がままある。しかし晩飯2.0にはあくまでユーザーとしてしか触れ合うことの無い僕*1はいわば晩飯2.0世界における下層を形成する多数のうちの一人でしかない。つまり晩飯2.0の恩恵を最大限独占している層に貢献しているという形だ。無論、原因は僕の努力がたりないからで、僕の努力次第ではこの晩飯2.0の中でも上位層に食い込めることもあるかもしれない。が、そこまでする価値を僕はまだ見出せていない状況だ。まったくヘタレの典型だ。
 というわけでデジタル・デバイドならぬ晩飯デバイドに取り残されてしまった僕は、一人晩飯1.0をかみしめながら今日も床につくのだった。 了

*1:いろんな飲みを企画していたりそういう飲み会会場に異様に詳しかったり人的ネットワークでそういうところを自然と見つけてしまうような人達というのはむしろ例外だと思っている。