Thee Rang 跡地

https://solaponz.hatenadiary.jp/ 跡地

The world is flat ... or NOT?

 題の本を読もうと思うが、手元には英語バージョンしかないので苦戦が予想される。まあでもいい勉強になるやろうしチャレンジしてみようかな…
 全く内容を読んでないのでどういう話かは知らないが、わずかに耳にはいってくるいろんな情報を元にした僕の先入観によると、テレビ会議とかネットワーク会議とかオフショア開発の隆盛とかで、とある企業は世界中の労働者特にITエンジニアを質毎に等価で雇うことができるようになるという様な事が書いてあるらしい、というか書いてあるのかな?という認識だ。はっきりいって人事じゃないので楽しみだ。日本語版はなんか上下に分かれている?とか聞いたことあるし、やっぱ頑張って原本を読み進めてみようっと。
 タイトルにor Notとあるのは、単純にそんな僕の先入観へ疑いを持っているからだ。ありていに言うとホントに世界はフラットになってんの??という印象を持っている*1。しかし僕は世界は全然FLATになってはないと考える。*2というのも、最近僕はこういう話に対して二つの体験があった。
■とあるブログにて書かれている独占の強みについてのエントリ
■日本で学び日本で働く実際の外国人から聞いた本音
 前者について、とあるブログとはこちら。
 分裂勘違い君劇場
 WEB2.0は自殺し、ゾンビーになって市場を徘徊する
 http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20060810/1155167016

 結局、これは、独占による弊害と、独占によって生み出される富との、収支バランスの問題なのだ。
ソフトウェアに基づく産業というのは、(1)スケールメリットと(2)ネットワーク外部性が極端に大きくなる傾向があるために、独占による富の創出効果が、独占による弊害を上回りがちなのだ。独占が発生した方が、企業もユーザも得な状態が、一時的に発生するのだ。
つまり、ITビジネスとは、本質的に独占状態が発生しやすく、しかも、独占を防ぎにくいという性質を持っている。

 WEBを眺めていると、ぽこぽこ出てくるPHPやらxmlやらAjaxやらRoRやらの新技術、もしくはFrendstarやMyspacegreemixiなどのSNSという発想は本当に革新的だ。5年前にWEBの住人がこの技術、アイデアを見るとすっとんきょうな声を出すくらい斬新な技術だと僕は個人的に考えている。これらの技術を考え出したのは誰か?調べようと思えばすぐだと思うが、この場合は別に作者がだれであろうとどうでもいい。僕が注目したいのは、それがどのように活用されているかという事だ。結論から言うと、これらの技術によってのしあがった企業やブランドというのはあまり聞いた事がない。あるとしても営利目的の研究団体だったりオープンソースコミュニティだったりする。これらの技術を駆使して最も多くのユーザーに最も多大な恩恵をもたらすのは、所詮それまで市場を独占していた一企業に過ぎない。それはその企業の独占性の為せる業だ。
 このエントリを簡単にまとめてみる*3と、

1:自由市場主義には元々自殺癖があり、
2:その自殺癖とは自己矛盾と同義で、
3:その自己矛盾とは自由競争を勝ち上がってきた企業は市場を独占するようになり、そのスケールメリットの故に強大な支配を実現でき
4:自由競争が闊達に行われなくなる、という事だ。
5:しかし支配権力による不自由競争は、独占禁止法公正取引委員会などの機能により防がれる。
が、
6:ITビジネスにそのような機能は存在せず
7:独占企業は莫大な富を占有しつづける。
8:それによって自由競争市場は死ぬ。
9:そして

ゾンビー市場とは、とっくに自由競争なんて無くなり、独占による搾取が行われている死んだ市場なのにもかかわらず、まるで健全に自由競争が行われているかのように錯覚される市場のことだ。(オイラが今、命名した)

10:権力は腐敗する。

 というような事になる。筆者の「分裂勘違い君」氏はヤフーオークションを例に挙げていて、確かにあてはまるなーと感動した。んー確かに、例えばマイクロソフトWindowsによる支配に対し、不当な独占だーとかそういう騒ぎはあったけども確かに同種製品(アップルのマッキントッシュとかIBMの独自OSとか)にとっちゃあたまらない独占だった訳だがユーザーにとってはむしろネットワークやH/Wが規格化されてよりボーダレスに、世界をフラットにする都合のよい独占だったわけで他でもない購入者達がその独占を望んでいるという図式がある。つまり大衆によって求められる独占というわけで、デファクトスタンダードというプラスな意味合いを含む言葉は寡占、独占というマイナスイメージ溢れる単語をキレイに包むためのベールのようなものかもしれない。分裂勘違い君氏の挙げるヤフーオークションも同様でユーザーが増えれば増えるほど出品者、落札者供にうまみが増すのでういう意味でいうとヤフオクのネットワークの拡大は到達点に達し(市場の独占、自由競争の自殺)妙な理屈をこねくりまわしてどんどんヤフオク税(笑)が値上がりしていく事(権力の腐敗、スケールメリットの濫用、『ネットワーク外部性の生み出し続ける富』から来る慢心?)に対しても指をくわえて見ているしかないというのが現状だ。
 以上を踏まえて<市場ー独占企業>と<労働市場ー優秀な人材>という図式を考えてみると、技術革新による時差や距離の撤廃、ビジネスやコミュニケーションの規格の統一化は結局ごく一部の優秀な企業と人材が凄く稼ぐようになってその他大勢の労働者やそのような労働者を多く抱える貧しい大国に還元されるなんてことは考えにくいような気さえしてくる。つまりITビジネスという語感自体に世界レベルのフラットな公平性とか公平な富の分配は似合わないような気がする。なんとなく。分裂勘違い君氏は言う。

問題は、実際の原油や鉄などの鉱脈の発見が、そこから鉱石を掘り出し、人々に供給することにより、人々にもその利益が還元されるのに比べ、ITビジネスの独占における(1)スケールメリットと(2)ネットワーク外部性というのは、掘り出した人間が独り占めするだけで、世の中を豊かにすることに、使われないということだ。
 もちろん、その人間が掘り出さなければ、この世の中にそのサービスが存在することはなかったと言えるほどの、とてつもなく独創的なサービスなら、掘り出した人間は、人々の暮らしを豊かにしたことになる。しかし、ITビジネスの場合、その人間がそれをやったタイミングが、他者より少々素早かっただけで、その人間がそのときやらなくても、数年後には、結局が誰かが立ち上げたであろうサービスであることの方が、ずっと多い。すなわち、単にその山師は、椅子取りゲームにおいて、ほんの少しだけ他者よりも椅子に座るのが早かっただけなのである。そして、椅子取りゲームが得意な人間に与えられる報酬としては、その爆発的な富は、はたして、適正な報酬なのだろうか、という疑問がわくのだ。

 そして話をだいぶん戻して、後者の「日本で学び日本で働く実際の外国人*4から聞いた本音」については、シンプルだが以下のような主張だった。シンプルだが、どこかボーダレス化に伴い成長してきた/成長するであろう多国籍企業(IT関連企業を含む)の本質をうかがわせる気がする。

  • 日本人はずるい、何故なら適当に働いていると充分いい暮らしができる。
  • 私達の国はそうはいかない。必死で勉強して必死でいい企業で働かないと、いい暮らしは出来ない。
  • さらに、日本人はずるい。
  • どんなに私達が必死で勉強して働いても、上司はいつも日本人だ。

 こういう事を考えながら、しかし無心になって The World is flat を読もうと思う。楽しみだ!





ちなみにこの本。
 404 Blog Not Foundのエントリ
 http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50591902.html 
↑詳しく解説されていて、9.11もフラット化に関係があるとか書いてある。やっぱり僕は凝り固まった考え方をしているようで、本書でしっかり筆者の実地経験に基づいた思考を理解しようと思った。



 関係ないけど、こうやって とある本を読む前/読んだ後 の思考をトラッキングできるってのはおもろそう。途中で飽きないようにがんばらねば…

*1:本文はThe World is Flatとは全く関係ない。以下はそのキーワードに付随する単なる僕の二つの偏見についての文章にすぎない。何せ僕はその本を読んだことがないので。僕は単にこの本に「これからは情報通信技術・インフラの発展によってボーダレスに労働と労働への対価が流通するようになる」とかっていうようなありきたりな話が書かれているのかな?と妄想しているにすぎない。もちろん、違うのは読む前から判っている。ちなみにもう一つの偏見とは、それへの疑い。

*2:繰り返すけども、書籍への反論ではない

*3:間違ってるかとか適切かどうかとかは知らないので、判断は前述のエントリを読んだ上での自己責任という事で…笑 僕はそれが合ってたらあー良かったと安心するだけで、間違っていたら僕がそれだけ無能だという事で…。

*4:彼女はとびきり優秀な人間だ。学力だけでいうなら東大のトップ層をさらに凌ぐであろうレベル。