Thee Rang 跡地

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ピアノ効果

 アノはいい。そんなに上手くはないが僕も一応十数年やっていたのでそれなりに弾ける。ピアノは当然実家においてあるので、大学、社会人ともう5年以上もピアノのない家で生活していることになる。注:以下、しょーもない回想が続く。
 ピアノは、嫌々習っていた。多分多くの人が経験があるだろうが、僕も嫌で嫌でたまらなかった。しかし、サボったりすると母や先生からびんたされる(マジで。)のでどうにも弾き続けるしか無かった。小学校の頃はピアノを弾いているというのが恥ずかしくて、ずっと友達には隠していた。
 ところが中学校に入ったあたりから、様子が変わり始めた。
 X-Japanを崇拝するあるアツい男に誘われてバンド活動を始め、僕はギターを弾いていた。中学校一年生のころに親父のエレキギターをもらって弾いていたので、そのころはギターが楽しかったのだが音楽室でバンドの練習をしていて、ふとしたときに初めて友達の前でピアノでビートルズかなにかの曲を弾いた事があった。すると、バンドメンバーは驚いてものすごくほめてくれた。僕は恥ずかしかったが嬉しくもあり、Xの曲のピアノ部分も任される事になった。YOSHIKIの奏でるピアノは中学生の僕にも分かるほどすばらしいものだった。テクニックはもちろんのこと、旋律がキレイな上にかっこよかった。そういう曲を練習しながら、ピアノを弾く楽しさ、それを聴いてもらう楽しさを徐々に感じていった。
 バンドの練習は昼休みや放課後にやっていたが、時々それを聞きに来るやつらがいた。大体の部分は女子で、そーいう子らにはピアノソロとかがめちゃくちゃうけて、僕は人気者になった。そいつらの中には僕よりはるかにピアノが上手い奴がいるのに、だ。
 ピアノはモテるのか!?という意識を持ち始め、家でも積極的に練習するようになった。
 高校になってから、本当にピアノが上手いやつの演奏というのを聞いて、衝撃を受けた。かっこいい。小さな女の子で地味なタイプだったが、まるでピアノを弾くときはそこらの厚化粧女子高生よりも顔が輝いて見えたし、迫力があった。当然きちんとピアノを習い続けていた子で、クラシックに精通していて色々とクラシックの曲を弾いてもらった。
 そういうこともあってクラシックを弾くようになって、クラシックの美しさに気づいた(中学校の頃は「バイオハザード」に出てきたという理由でベートーベンの「月光」を弾いていたりしとったけど…)。一番最初に本格的に練習したクラシックと呼べる曲は、べたにショパンの「子犬のワルツ。」続いて「ノクターン」。弾きながら曲の楽しさや美しさが指をつたって体に伝わってくるようで、そしてこんなに有名な曲を自分が奏でる事ができるという喜びですっかりおもしろさを知ってしまった。
 それから、色々な曲を弾いた。一番最初がショパンだったのでショパンをたくさん弾いた記憶がある。もうこのころはピアノ教室には通ってなかったので、あまりマイナーな曲は知らず有名で好きな曲ばかり選んでひいていた。わからないところがあれば、音楽室に楽譜を持っていって上手いやつらに弾いてもらって確かめたりしていた。
 思えば、ピアノは楽しかったし、いい気分転換だった。
 嫌なことがあったとき、部活や勉強で疲れたとき、好きな子にあんまり相手にされなかったとき、親と喧嘩したとき、将来が不安になったとき、ペット(文鳥の「ソラ」)が可愛くて可愛くて仕方がないとき、テストに疲れたとき、部活を引退したとき、翌日に入試が迫ったとき、卒業式のあと、兵庫県西宮市の一人暮らしの部屋に向かう日の午前中、たまに帰省した時、色々なときにピアノを弾いて、指の感触を楽しんで音色に耳を傾けて心の中の感情をやわらげていた。おもいきり弾いたあとは、信じられないくらいすっきりして精神的な平和を保てる。
 今は弾きたくてもピアノがない。電子ピアノはあるけども、感触がまるっきりエレクトーンな上に鍵盤数が足りないのでとても曲が弾けるものじゃない。会社には音楽室もないし、誰かピアノが家にある奴というのもなかなかいない。
 会社で夜中まで残って仕事をしているときに…思い切りピアノを弾いたらきっと効率も上がるのになー。こんなにピアノが弾きたいと思う毎日は人生で初めてかもしれない。ピアノほしい!
 もしも僕にピアノが弾けたなら、涙がわーっと溢れるような ビューチフルな音楽をやる!!!