Thee Rang 跡地

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クーデター!!??

 イでクーデター発生とのうわさあり。バンコクの政治中枢部に戦車で突撃したひとらがいるとかなんとか。NYにいるタクシン首相は非常事態宣言を発令。
 タイでは全チャンネルが一斉に番組が打ち切られ国王の映像を放映中。

 えらいことになっています。続報は追って追加



 タイでは政権交代の際にクーデターがおこることは別に珍しいことではないし、国民も特に混乱することはない。なぜなら、国王がいるからだ。いわば、水戸黄門様が常に控えておられるわけで、今回も首都を制圧した軍部はすぐに国王にクーデターについて報告をしている。まったく平和なもんで、タイ人はメッセンジャーの名前に「会社帰りめっちゃ戦車がおった!」とか、大銀行の幹部でさえ「明日会社にいかなくてもいい、やったー」みたいな雰囲気だ。街頭で戦車や軍隊の写メールをとる人たちの写真も報道されて、クーデターといえば血なまぐさいイメージがある人にとってはわけがわからない事態が進行しているように見えるかもしれない。
 先日一報がはいったのが午前一時前だったが、それはタイで一斉にTV番組が打ち切られ、国王関係の映像が流れているという知らせから始まって僕も混乱してしまった。が、しばらくするとタイのテレビで黄色いネクタイのおっさんがでてきて、国民の皆様にはご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、落ち着いてくださいというようなメッセージを発して実際夜も遅かったこともあり落ち着いていたようだった。
 とにもかくにも、現在NYにいるタクシン首相や後継者と目されていたチチャイ副首相などの命運もつきたかな、というところで、次回政権が現政権の汚職と疑惑にまぎれた政治疑惑をきちんと解決し、また民間業や軍部、法曹界から政治関係者の根を絶つなど、先進的な政策を打ち出すよう祈るのみだ。タクシンさんが辞めたら、疑惑をいくつか書いてみても問題ないかな…
 しかしてすでにバーツも大暴落しているわけで、一時的にせよ経済的に打撃があるのは間違いないだろう。国王の早期介入と平穏な事態収拾を期待する。ソムキット氏の復権とタクシン親族の各界での現役職辞職、徹底的な疑惑追及の公約、がバンコク市民の最小公倍数的な落としどころだろうか。
 昨日のエントリの内容の直後にこんなことになったので、びっくりしてしまった。
 が、死者が一人もでないこの平和(先進的でないことは間違いないが)なクーデターよりも、同日に南部で実際に死者がでたテロや、学校に爆弾が仕掛けられたという騒ぎが起こったというニュースの方が僕にとっては重いような気がした。政局の混乱と治安の不安、日本人が天皇を慕うことよりも熱心に国王を慕い、小乗仏教に親しむタイ人たちの社会に暗い影を落としている大きな要素が浮き彫りになった一日だった。

 追加(11:40) タクシン首相の奥さんと子供が海外に逃げたという話。タクシン首相の子供は進学校に通っていた(当然実力で入ったかどうかは極めて怪しい)ものの素行が悪いので有名だったのだが、まさかタイを追われることになるとは思いもしなかっただろうな、、、。行き先はシンガポールだそうで、これまたタクシン首相の金塗れの疑惑の矛先なので国民もあきれかえっていることだろうと思う。政治腐敗もものともしない国民の国王への忠誠心とマイペンライな精神が事態をどこか喜劇化しているようにも見える。

 追加(23:50) 今日はタイはだいたいの企業は休日だったそうなので、家族で軍隊の人たちと写真をとったりしている人らもいたそうだ。中でも、とあるニュースサイトで少女が軍人に何か腕輪みたいなものをプレゼントし、ワーイ(胸の前で手を合わせるタイ式のおじぎ)をしている写真が僕の胸をうった。
 これはこちらのページにある写真のうちの一枚だが、この中の写真はいずれも軍隊がいかに国王を敬愛しているかを語る写真だ。黄色いリボンやゴムの腕輪は、今は国王への尊敬を表すシンボルとして今でもタイ人に愛用されているし、日本であるいていてもよくタイ人が黄色い腕輪をしているのを見る。ちなみに、僕も持っている。
 タイの軍隊には、簡単にいうと、国王派閥とタクシン首相派閥がある。国王派閥のトップはプレーム氏という偉い人で、この人は超例外的に国王から臨時の代理権限を与えられている、国王からも国民からの信頼も厚い老人だ。彼がこのクーデター以前に国王に謁見していたといううわさがあり、それが今のマスコミの事前に国王に黙認されたクーデターという報道につながっているものだと思われる。
 今回はバンコク中心部でのタクシン首相派の軍部との対立が心配されたが、どうやら速やかに国王側の軍部の作戦が遂行されたこともあり大事には至らなかったようで何よりだ。
 タイはもちろん三権分立の存在する民主主義国家で、このようなクーデターは決して民主主義にとっての正義ではない。が、日本、アメリカなどの公式見解などでクーデターを批判しているのはいわばポーズという一面がある。国王の絶対的な国民からの信頼とリーダーシップは当然諸外国には周知の事実で、厳しい批判は一切きかれない。僕も決して悪いことだとは思わない。なぜなら、タクシン首相の政治的腐敗や背任行為はもはやタイの民主主義では対応できないほど強固で強大だったからだ。国民のほとんどは現状打開にはクーデターしかないと分かっていたし、その結末を知っていた。タクシン首相もこの半年間で軍部へのアプローチを様々な形で強めていっていた。しかし先日の軍部による首相官邸爆破計画未遂事件も自作自演だと書き立てられ、南部へのテロ対策も効果をあげるどころか自ら火に油の発言を繰返していた。さらに国王派軍部のプレーム氏をメディアを通じて公然と批判したとあっては今回の事件は、彼の恐れていた事件を彼自ら招いてしまった、招かざるを得なかったという事だろう。
 バンコクの市民はいま、喜びに沸きかえっている。
 国王の偉大さを改めて世界中に知らしめる形となった今回のクーデターではあるが、しかし裏を返すと今後のタイの民主主義の成熟には大きな壁が立ちはだかっているという事実を改めて認識させられたという事件でもあった。10年先、20年先の日泰関係、世界規模での東南アジアの和平、発展の為にタイ国民のみならず日本政府としても考えるべきところは多いだろう。そんな日本には、是非しっかりと情報収集をして、双方の国益にかなった国家戦略をとってほしい。とりあえず僕は、タオ島の海に早くまた潜りたい。