Thee Rang 跡地

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タクシン首相とは & 謝辞

 日のタイのクーデターに関するエントリでは、おおまかにあらすじというか筋書きを書いてみたがそのストーリーの中心人物の一人はタクシン首相という人で、この人については以前こちらのエントリで簡単に触れた事がある。といっても、ほとんどリンク先参照みたいな感じだったのであまり親切ではなかった気がする。
 クーデターでのエントリを見ているとまるで極悪人という印象しか与えかねないのが心配だったのだが、決してそうではない。タイのCEOと皮肉られていたように、彼は政治を経営的アプローチで支配していこうとしてそれが道義的、常識的に批難を浴びつつも強大になりすぎた事が問題だったのだ。
 彼は日本の小泉総理にすら皮肉られたことがある。先日のアジア欧州会議でヨーロッパで二人があったとき、タクシン首相は小泉総理に「東アジアで国際政党(人生を楽しもう党?)を作り、あなたに総裁になってほしかった。私はそこで幹事長をやりたかった。引退が残念だ。」という様な内容の話をしたとニュースで報道された。小泉総理はそこで「なら本部はあなたの別荘におきましょう」と切り返し、周囲の笑いを誘っていた。これはクーデターの起こった今振り返ると冗談ともつかない切り替えしで、去り行く宰相の相変わらずのパフォーマーとしての素質をうかがわせる一幕だったと苦笑いしてしまった。
 が、僕がタクシン首相を素晴らしいと思う一面もある。
 彼は非常な愛妻家だ。そして、(少なくとも途中までは)偉大な経営者だ。
 彼の人生はまさに七転八倒とでも言うべきもので、波乱に満ちた人生だった。若いうちの既得権益にとらわれることなく常に野心を持ち、しかし失敗して途方も無い借金を背負いつつも幾度もくじけずに事業にチャレンジし、見事通信業界で東南アジア随一の富豪にのし上がった上に政治的にも上り詰めたのは彼の妻からの変わらぬ支えのお陰だと、彼はメディアを通して何度も断言している。そもそもああいった富豪は洋の東西を問わずに女性を多数囲ったりするものだが、彼に関しては、妻が波乱の時代から夫に誠実だったように常に妻に誠実であり続けた。そのあたりは、きっと日本人好みするエピソードだろうと思う。
 また、国王を初めとする王政に挑戦的な発言を繰り返していたこともクーデターの大きな一因となったのだろうが、それはいかにも,早期にアメリカ留学を果たし合理的で実力主義的な思考を身につけ、それでもって成功を収めたんだぞという彼の信念の裏返しにも見える。というのもタイにおいて国王批判というのは刑事的に罪になるのだが、彼にとっては自分の唯一敵わない相手、そしてなぜ敵わないのか納得のいかない相手だったのだろう。Thai "Kingdam"で、KingをCompetitorとしている限り彼の勝利は元々ありえなかったのだ。
 僕の希望としては、彼は日本に亡命してきて、そして実業家や政治家としてではなく本を書いたりして活躍して欲しい。おそらく自伝だけでも一級品の読み物になるはずだ。日本政府は是非彼(と彼のお金)を歓迎するメッセージを秘密裏に発信してほしい。EmperorをCompetitorとして見ない限りは、きっと国民も歓迎するはずだ。第一、すでにたくさんの人に同情されているはずだ。日本はクーデターとかは大嫌いな人が多いやろうし。
 



 そしてこの場をかりて、一言いうべきことがある。実は一昨日このしょーもないBLOGは記念すべき?10000HITを達成していた。主として非常に個人的な知人友人の方々に読んでいただき、とりあえずは3ヶ月以上続いてこれた事の結果が出たようで嬉しかった。僕はこのお知らせをする事は1エントリを割く価値は充分あると考えていたがあまり鮮度が落ちてもなんなので。皆様こんなしょーもないBLOGの存在を覚えておいてくれてありがとうございました。
 とかっていう事を書こうかと思っていたらクーデターがあってそれどころではなくなって、とりあえずリアルタイムで入ってくる情報を整理しつつもタイの政治事情について少し判りやすく書いてみた。そうすると、『はてなブックマーク』という、「はてな」(←今僕がこのblogを書くために使用しているサービスを提供しているサイト)のユーザーのブックマークに取り上げられ、午前中からありえないくらいのアクセスを集めてしまった。んで、結局10000HITで浮かれている間もなくあっという間に15000HITに到達してしまった。アクセスアップ対策には興味がないどころかむしろ遠ざけているこの個人的なWEBLOGに一日で今までのアクセスの半分以上が集まったというのも奇妙な話だが、しかしそれだけタイの政治やクーデターという衝撃的なニュースに興味を持った人が多かったのだろうか。
 ブックマークしてくれている人やリンクしてくれている先の人たちのBLOGやコメントはだいたい読んだが、所謂流行モノを適当に追っかけたものじゃなく(ちなみに上述の「はてなブックマーク」の上位にいるサイトにはそういうサイトもいくつもある)しっかりと読ませる文章を書かれている人が多くて、やはりBLOGの世界の広さを思い知った。活字大好き人間にとっては非常に嬉しい機会となった。そしてどうやら聞くところによると全世界のWEBLOGの1/3は日本語だそうなので、これも日本語のパワーだろうか、と考えてしまった。電車の中で、右手側の紙面では金融情報に目を光らせ左手側の紙面にはいかがわしいポルノ情報が満載の不思議な新聞を手に取る日本人に驚いたポール・ボネさんも、草葉の陰で苦笑いしているに違いない。