Thee Rang 跡地

https://solaponz.hatenadiary.jp/ 跡地

必死の朝

 床。
 「・・・!!!やばっ」
 「え〜〜・・なんで!?」
 時計の針は6時10分を指している。乗るべき電車は6時15分。家を飛び出し、駅までの道のりをダッシュ。途中何度も息が詰まりそうになるが必死でもがき、走りながら財布からSUICAを取り出し改札にタッチ、そこからは階段ダッシュ。降りてくる人の波に一瞬動きが鈍る。足が動かない、針金みたいだ。あと一段で階段が終わるという所に、到達する前に僕は前を向くのをやめた。電車が走りだすのが目に飛び込んできたからだ。僕は絶望し、本当にその場にうずくまることしかできなかった。
 ・・・しかし僕は慎重派なので一つ遅いやつでも充分間に合ったので良かった。
 あの、起きた瞬間に全身の血の気が引く感触はいくら味わっても慣れない。僕はこの現象は社会的責任がはじめて伴ったアルバイト体験にてよく味わったが、社会人になってから味わうそれは比較にならないほどBig Waveだ。とくに今朝のように間に合うのか間に合わないのかイマイチ分からないというのが一番必死になる。一度僕は、仕事で約束の時間から二時間後におきたことがあるが、起きた瞬間あの嫌な感触はなく、ただ苦笑してしまっただけだった。その日の朝飯は上手かったし、歯はピカピカに磨いてやった。で、堂々と、しかし誠実に誤った。