Thee Rang 跡地

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くる年 ゆく年

 が明けてから最初のニュースの第一報は、バンコクでの同時爆破テロを告げる速報だった。この日、バンコクの戦勝記念塔の近くで6ヶ所、さらにISETANとWTCの付近の道路で2ヶ所爆発があったようで、新年の祝賀イベントやカウントダウンイベントなどは軒並み中止となったようだ。その判断は極めて正しかったようで、もしもISETAN前の広場でカウントダウンイベントをやろうものなら、新年を迎える直前の爆発でパニック状態に陥って大変危険な状況となったに違いない。この時期は、日本からタイに渡る航空券は通常の三倍から五倍の値段で販売され、多くの日本人や外国人が関空や成田空港からタイに渡る。彼らはさぞかし肝を冷やしただろうが、南部で多発していたもののバンコクで爆弾テロというのは前代未聞で、身にしみてタイの政情不安定を実感する事となったのだろう。日本のマスコミがISETAN前での爆発をカメラでとらえたというニュースが流れていたがこれは大スクープだ。レポーターは無防備にも近づこうとしていたが、殺気立った警官に止められていたのが間抜けだった。スラユット首相は、政権や利権を失った者達の犯行ではないかとインタビューに答えていたシーンが衝撃的だった。 
 この連続テロが、クーデターで地位と財産を奪われたタクシン元首相かその親族の意向*1が関わっているといいたいのだろう。が、彼はタイのCEOといわれるほどビジネスを理解し、財界を知り尽くしている。果たして彼にテロをすることのメリットが見えているのかというのは疑問の残るところだ。また、『利権を失った者』という言い方も刺激的で、確かにタクシン一族の各界への支配的な人材配置は目に余るものがあった。首相の意向にそわなければBTSバンコクを走るモノレール)に広告の一枚も出せなかった訳で、市民レベルでもタクシン一族の強権を実感せざるを得なかった。親族には軍の上層部や警察の上層部もいるので、武器や爆弾を手に入れる事は容易だったろうと推測できる。が、まだ分からない。南部やマレーシアの一部イスラム教徒によるテロの可能性もあるし、新政権となったことで経済的に苦しくなった農村部の起こしたものなのかも知れない。そしてまた他の誰かが仕掛けたのかもしれない。
 僕の考えるところ、これを解明する手がかりとなるだろうと思うのはバンコクの王室関連施設、もしくはその近辺で爆発が発生するという事態が発生するかしないかという事だ。日本人観光客が、日本のマスコミのインタビューに、「明日当たり王宮も危ないという噂*2があるからなるべく人の集まるところは避けようと思っています」と答えたというが、タイで起こるテロにこのようなことは考えにくい。テロリストであれ一般市民であれ王室に傷をつけようと試みるなんていう事は無理だろう、というのが僕の考えだ。メリット・デメリットで考えてもあまりにもリスクが大きすぎる。もしこれが本当に王室に直接的なダメージを与えるようなテロに発展するとしたら、そのときこそタイの経済、文化は大打撃を受けて国政・メディアはパニックとなるかもしれない。考えたくない事態だ。
 なにはともあれ、バンコク市民もテロの脅威を身近に感じながらの生活を強いられるようになった新年は、非常に残念だ。南部では学校や銀行でテロが相次いだが、多くの人があつまるバンコクで同規模のテロが起これば何倍もの被害が出ることは容易に想像できるし、僕の親しい人の中には銀行と学校にそれぞれ職を持っている人もいる。心配だ。
 


 
 さて、血なまぐさい話だったが昨年からこのWEBLOGを書き始め、ようやく年を越すことができた。文章に明確なスタンスやテーマを持たせることなく書き進めているので楽しみながら2006年を終える事ができた。2007年が始まり、より一層いい文を書けるようになるように初詣でお願いしてこようと思う。今日の夜に浅草あたりに出張ろうと思ってるんやけど、やっぱ人すごいんかな…
 皆さん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

*1:クーデターの少し前、首相官邸近くで爆発物を満載したトラックが逮捕されたことがあった。元首相は暗殺の危機を感じたという話をしていたが、しかしその後タクシン元首相側の自作自演であるという説が飛び交い一層の非難を浴びてしまった。真実こそ謎だが、このような話もスラユット首相の見解に影響を与えているのだろう

*2:最初に爆発のあったのは戦勝記念塔だという報道があった。戦勝記念塔は王宮からさほど離れていないのでこの噂がまったくのデタラメであるという可能性は100%ではない。