Thee Rang 跡地

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空の真下で

 本のどこに入っても、世界のどこに入っても変わらない景色がある。空の景色だ。ニューヨークのマンハッタンで一番高いビルの上でも、僕の家を少しでたところでも、見える空の色や雲の色は変わらない。江戸時代の江戸から見た空も、30年後大地震で崩壊した旧首都・東京で見上げる空もきっと同じようなもんなんだろう。
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 会社の窓から見上げる空は四角く、タイのビーチに寝転がって見上げる空は丸い。どこかの国の、隕石が衝突したクレーターの一番底に歩いていってそこで寝ころぶと本当に丸い空を見る事ができるという。エベレストの頂上にて上を見上げると人工衛星が見える事があるという。北の方の国に行くと、夜、闇夜にうっすらと緑色の光のカーテンのようなものがかかってみえるという。そういう違いはあるけども、基本的に空は真っ青で、ときどき白い雲がいったりきたりしているように見える。
 日が傾くと赤くなって、日が沈むと暗闇になる。暗闇には、日の光をうけたり自分で燃えたりしながら輝きを放つ星々が見えて、時には色々な形や大きさの月が明るく輝く。高校の頃の地理の先生が天文オタクで、よく生徒にむかって星空のすばらしさや宇宙の神秘について語っていた。
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生徒に向かって真剣にその情熱を語ってくれた教師はそんなにはいなかった。その人は、見た目も中身も典型的なマニアという感じだったが、本当に素晴らしい事を学ぶことが出来てよかった。感謝している。

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 と、上に並べた空の写真を見て考えた。
 これは2005年にニューヨークにいったとき、地下鉄にゆられてコニー・アイランドの水族館に行った帰りに撮影したもので、長い砂浜を洗う静かな波に映る、透き通るような青い空と光る太陽が非常に印象的だった。
 毎日、僕らは何かしらのストレスを感じながら生活している。会社や学校を後にする時に、通勤・通学電車を後にする時に、家を後にするときに、何かの店を後にしたときなどに、何か雲のようなもやもやが胸につっかえている事や、悩みや迷いが頭の片隅に痛みとなってもたれた経験はないだろうか?誰の日常にもそういう事はあるはずだ。目線は下にいってしまい、眉間にはしわがよってしまいがちになる。気が付けば、ため息をついているかもしれない。
 空を見るといい。いつも変わらない空に、自分のもやもやとした気持ちなど雲のように吹き飛んでいく。立ち止まって、アホみたいに上に向いて口をぽかーんと空けてみる。意識は一気に上に上がって、足下から腹、顔、頭、頭上、はるか上の雲のあたりまで感覚が立ち上る気がしないだろうか?
 そのうち、くらやみの宇宙からちっぽけな島国でこちらを見ているもう一人の自分が見えた気がしてくる。間抜けな顔をしてこっちを見ているそいつは、きっとつまらない事で悩んでいる。