Thee Rang 跡地

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幕末・日本

 晩、ふと産経新聞のサイトを見ると、特集で吉田松陰の生涯を彼の言葉と共に追っていくシリーズがあり、もうすでに結構連載されているのだがたまたまクリックして読んでみるとなかなかおもしろかったので、バックナンバーをずーっと読んでしまった。んで、松蔭が江戸で遊学している際に脱藩して東北旅行に行ったあたりで途切れていたので、続きがどうしても気になって思わずwikipedia吉田松陰を調べて読み込んでしまった。吉田松陰その人そのものにも非常な興味を持ったが、それよりも彼の生涯の中に出てくる多くの人物が意外な有名人*1だったりして、思わずその人の名前をクリックしてwikipediaのページに飛んでまたそれを読んで、またその中の登場人物をクリックして・・・とやっていると、いつのまにか四時間くらい幕末の日本の有名人のwikipediaを読み込んでいた。新撰組の組長は全員読んでしまった。
 幕末というと非常に遠い次代のように聞こえるが、実はそんなに遠くはない。たかだか百数十年前の事で、wikipediaには、司馬遼太郎が小説を執筆する際に取材した老婆は実際に沖田総司新撰組一番隊組長)に遊んでもらった事があったと書いていた。沖田総司は1842年生まれなので、現在生きているとすると165歳となる。確かに、30年前に80歳だった人間は、10歳の頃65歳の沖田総司に会える事はできた。(実際は沖田総司は26歳で逝去しているので、5歳の頃沖田総司と遊んでもらった人間が生きていたとすると1963年で100歳だったと計算できる。)それくらい、幕末はそう遠くない日本の姿だといえる。
 世の中には新撰組ファンや幕末の志士のファンがたくさんおり、そういうのを題材にした小説・漫画・映画にも事欠かない。僕はそんなに興味はないものの人並みにはそういうものに触れてきたのでいくらかの知識は持っていたが、いままで曖昧だった人物の相関関係や略歴などがwikipediaによって整理されてすっきりした。
 また、幕末に興味を持つ理由の一つとして、とある本との出会いが上げられる。僕が古本屋をあさっていた頃、京都のとある古本屋で岩波文庫のおもしろそうな題名の本と出会った。「一外交官の見た明治維新(下)」という本で、タイトルから、外人が日本に来たときに色々みたものを書き記したエッセイみたいなもんかなーと思って買ってみて、しばらくたってから読んでみると全然違った。作者は「アーネスト・サトウ」という人物で、日本には合計で25年間も住んでいたという日本通だ。彼自身もwikipediaに掲載されており、やはり相当な有名人らしく著作は日本近代史の重要な史料とも目されているようだ。
 アーネスト・サトウ - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%88%E3%82%A6
 「一外交官の見た明治維新」は、傑作だと思う。何より生々しい描写がリアルに江戸時代末期を感じさせてくれるし、さらに彼の地位や役職にも関係する事なのだろうが、実際に何かの船の上で西郷隆盛と対面していたり、他にも実際の志士たちの様子がまるで僕が今WEBLOGで会社の同期について色々書くような感じで描写されている。生麦事件などに大きな驚きを覚え、当時いかに外国人が日本で侍の刃に脅威を感じていたかをありありと描いている。また、侍の残虐性についても当時の外国人は非常に恐れていたという。幕末の混乱と相まってどんなドラマや映画よりかも臨場感に溢れた一冊となっている。是非、「一外交官の見た明治維新(上)」も読みたいと思う。今ざっと調べてみると、アマゾンなどで普通に岩波文庫から売っているようなので、幕末ファンの人がいたらこの本を読んでいないのは失態と言っても良いほど致命的だと思う。戦争の様子、美しい自然の様子。今まで知らなかったもう一つの日本が見える。

*1:彼に兵法を教えたうちの一人が岸信介、現首相の安部普三の祖先だった、などがおもしろい。名家は昔から名家だったという事だろうか。