心に残る二大おやつ

　親が厳しかったので、小さいころあまりおやつというものを食べさせては貰えなかった。ご飯前数時間は問答無用でだめだったし、休日、親が機嫌のいい時にぽろぽろともらう程度で、僕自身もそんなにおやつを食べたいという欲求は無かった。
　が、大好きなおやつが二つほどあった。COOPの「ロングウインナー」と、「チョコ坊たち」の二つだ。この二つはべらぼうに旨くて、これが貰えるとテンションは最高潮だった。

『ロングウインナー』

　あまりにも好き過ぎて、ロングウインナーなどは一度親の目を盗んで冷蔵庫から取り出し、三本一気に食べてしまった事があった。頭の中では悪いことだと意識しつつも、「これを食ったらもう数日は我慢するから！」と自分にいい聞かせ、ひたすら貪ったら案の定その日の夜親にバレ、こっぴどく叱られた。これをフライパンにうすく油を引き、表面を焦がすように転がすと破壊的な旨さになる。よくおばあちゃんに作ってもらい、学校帰りに食べていた。「おばあちゃんー！ロングウインナー転がして！！」とお願いし、おばあちゃんはいつも二本を細切れに切ってお皿にだして食べさせてくれた。これをパンにはさんでバターを塗って食べても、この世の極楽が味わえる。保証してもいい。

『チョコ坊たち』

　これも圧倒的に旨い。チョコスナック系の中では無類の旨さを誇り、インターネットや携帯メールなどがない時代でも小学校のクラスで話題になった事がある。それくらい旨い。よく、うまい棒をチョコで包んだ味などと表現されるがとんでもない。うまい棒などと比べてはパッケージの少年が怒髪天を突いて怒り狂うだろう。菓子としての格が違うというものだ。袋をあける際のワクワク感はたまらないし、冷凍庫にいれてチョコの部分をカチカチにしてスナック部分のサクサク度を演出し、さあ一口目という時に口の中に広がる軽快な音、ピーナッツの香りと少し遅れてやってくるチョコの香り、そして口にのこらないスナック部分の口当たりがえもいわれぬハーモニーを奏でる。僕はこの菓子は決して一気食いした事はなく、後の自分へきっちりと取って置いた。COOPでも必ず注文できる訳ではなく、商品一覧にこれが載っていると親に頼み込んで３つほど注文してもらって、届く日が待ち遠しくて仕方が無かった。いま生協のページなどを見てみると、いまだに売っているようでまさに２０年選手、現代の生意気KIDSたちもこのお菓子の魅力にはメロメロになっている事だろう。
　今は、ファミリーマートでこれの復刻版のようなお菓子が出ている。「ぼくのおやつ」とかいう１００円のシリーズで、少し長さは短いが味はほとんど変わらず、僕は常に冷凍庫にストックしてかじっている。一口ごとに、昔の光景が頭によみがえる。しばらくは手放せそうにない。

悲しいお知らせ

　というわけで、ロングウインナーもGoogleで検索してみたら、驚愕の事実が判明した。

大阪いずみ市民生活協同組合
http://c11vrbwn.securesites.net/profile/04/anshin/oshirase/oshirase28.html

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（1） 6月8日の夕方に日本生協連の「ＣＯＯＰロングウインナー」に仕様書では使用を認めていない添加物（リン酸二水素ナトリウム）が配合されているとの連絡を販売元である日本生協連より受けました。６月２回配送以降の該当商品の配送停止と受注停止を決定しました。

　絶句・・・・。下の記述も。

Ｑ 代替品はないの？
Ａ ロングウインナーは生協の人気商品でもあり、欠品になったことを深くお詫びいたします。
以前より日本生協連のロングウインナーはリニューアル（製造メーカーは日生協が起用した福留ハム）を予定しており、６月４回から新登場でお届けいたします。
また、オールポークウインナーは７月３回から製造メーカーを日本ハムに変更し、お届けするよう準備をすすめており、日本生協連、他生協と連動し、製造立会いも含めて点検に入ります。
安心してご利用下さい。

　やはりロングウインナーは生協の人気商品・・・だったらしいがどうやらもうお目にかかることはできないようだ。全国の同好の士には残念なニュースだが、、、いつの日か、代替品が開発されるのを夢見る事にするしかないようだ。大人買いして、酒に当てて貪り食う野望はわずか数分で消える事となってしまった、無念だ。無念すぎる…。
　あの、フライパンで転がしたおばあちゃんの味はもう食べられないのか…