Thee Rang 跡地

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映画レビュー評

 画というのは活動と呼ばれた昔から日本人の娯楽として広く親しまれてきた文化で、今でも洋の東西を問わずあらゆるところの映画を楽しめるのが日本の映画館だ。なので、観客の目が肥えているというのは仕方が無いことかもしれない。僕自身は、昔は田舎であんまり映画館が今ほど身近では無かったという事もあり、あまり映画をたくさん見ているほうではない。東京ではあらゆるところに映画館があるので、何かと行く機会は増えたがうれしいようであり、ありがたみが減ったような気もして悲しい気持ちにもなる。金銭的な余裕も昔よりかはあるので、映画を見るときはほとんど欠かさずにキャラメルポップコーンとドリンクのセットをつまむようになった。だいたいそういうものは600円とか信じられない値段がするのだが、僕はだいたいレイトショーで、1200円くらいの価格で見ることが多いのでほかの人と出費額はあんまり変わらないだろうと思って自分を許している。
 さて、先日とある映画を見に行った。スパイがどうたらというエントリで軽く触れたthe departedという作品だが、これがまたスリルはあるわ俳優は魅力的だわで非常に楽しめた。アクションは割りと軽めで、淡々とストーリーが進んでいく感じだがその分人物描写がうまい、実に効果的にカメラにストーリーを収めていく。音楽が大変よく、場面場面で最適な音楽を選んでいるようで、音も充分楽しめる映画だった。割と軽めなストーリーとはいえ、随所に映画的手法がもりこまれていて表層をなぞったくらいではストーリーの70%ほどしかわからないだろう。すべてのシーンに納得をしたいならばさりげない台詞から想像力を働かせる必要があったり、登場人物や組織の背景についてある程度の知識がないと難しい部分というのもあった。よくよく考えるとあの演出はこの事実の布石だったのか、とハっとするシーンもある。基本的にはギャング映画だったので、カッコいい俳優を見るだけでも楽しかった。
 というのが雑感なのだが、よりストーリーや俳優に迫りたいと思ったので、帰ってから普通は見ることがない、映画評というのを読みたくなって色々と検索してみた。するとやはりYahooの映画コーナーにたどり着いて、色々な人がいろいろなレビューをしている所がある。読んでいくと、こちらの気分が悪くなるような酷い批評が随所に見られ、耐えられなくなってすぐに切り上げてしまった。

  • ある人は、自分の理解力の至らなさを棚に上げ監督や俳優を無能だと罵り、
  • ある人は原作(この作品はとある香港映画のリメイクらしい)との比較に終始していたり
  • ある人は時間の無駄だ金を返せといい
  • ある人は「ここのレビューを見て見に行きましたが、行かなければ良かったです」と言い
  • ある人は俳優をこき下ろしすべての要素を否定するだけだったり
  • ある人はどこかのサイトに書いていた事をあたかも自分の感想のように書き散らしたり

 本当に酷いところだった。そういうことを書いている人たちのほとんどが映画の核心部分やストーリーの流れを理解しているとは到底思えず(原作のストーリーと混同してしまっている人も多かった)、それがさらに不快でこういう人たちに好き勝手批判される映画監督もムービースターも、大変な職業だと気の毒になってしまった。せめて、建設的な内容を含ませるとか、自分の考えをもっと伝わるように書くとか、客観的に書くとか、第三者が読む価値のあるような内容にしてほしいもんだ。映画を見て、「時間の無駄だった、金を返せ」というような人には、自身がそれを言ったり、わざわざ数クリックして書き込みをしたり、読み手がそれを目にしたり、そういう時間こそ無駄だと思うがどうだろう。しかもたちが悪いのが、そのような流れが無批判でいられるという構造だ。仕組み上、どんなダメな書き込みでもそれを批判するという事ができない。非常に鋭い洞察と豊かな感性によりえぐられた良質な批評が、上に上げたような犬も食わないコメントたちと、同等として扱われるのだ。そこらへんの仕組みがうまくまわっているのが2ちゃんねるで、今回の件でこと映画評に関しては2ちゃんねるがかなり信頼できるものだとわかった(ただし、ネタバレが激しいので見終わった後限定ではあるが…)。
 弱い犬はよくほえるというが、そういう実例をたくさん見たかったらぜひYahooの映画コンテンツに遊びにいくといい。それぞれ引っ張ってきてBLOCKQUOTEで囲んで引用したいところだけども、そういうのは汚くなるからやめておこう。
 やっぱり、何かを批判するという事は難しい。こういうダメ例を見てしまうと、特にWEBにて意思を公開するというのはかなりの勇気を伴う事やしその分しっかりかかななあと思ってしまった。話題のMIXI/ブログ炎上とかも、気をつけないとなー。今の時代、そういうことを学校でしっかりと教えるべきだ。小学校の段階で。映画関係ないなー。