Thee Rang 跡地

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流れ星の音

 宙の神秘に果ては無いように、人体の神秘にもまた果てはない。
 リクライニングできる椅子か何かに寝そべって、夏の夜空をぼけーっと見つめた経験はあるだろうか?東京では明るすぎて星が全然見えないので無理だろうが、田舎のほうへ行くと街の明かりがないので、月が暗い夜などは夜空一杯の満天を望む事ができる。多分、それは一度見上げたらなかなか目をそらす事のできない光景で、どの星がなんという名前だったかを思い出す前にいくつもの流れ星がひっきりなしに流れ去っていくだろう。僕の記憶の中で印象深い星空は大分の星空、小豆島の星空、そしてタオ島の星空。広大な宇宙に散らばる無数の星を見るたび、地球も宇宙の一部なんだと思い知る。
 僕は高校の頃、地学を習っていて必然的に天文学についても勉強をした。そのときの先生は地質マニア、天文マニアで世界中に色々な調査や勉強会をしにいっていた人だった。その先生が、ものすごく興味深いことを言っていた。

「今まで色々な人と会ってきましたが、その中で二人だけ、流れ星の音が聞こえるという人がいました。一人目にあったときは嘘だろうと思って相手にしなかったのですが、二人目に会ったときにそれが嘘ではなかったとわかりました。彼らは、流れ星の音を確かに聞いているようでした。」

 流れ星はご存知の通り、宇宙のチリが地球の大気圏に突入する際に燃え上がる現象の事で、天体が実際に高速で動いているというわけではない。なので、大気がないので音が存在しない宇宙空間と違って音が聞こえても確かに不思議ではない。実際に、流れ星の音、と検索すると聞こえるというような事を書いている人が何人かいるようだ。《シャラシャラ》という音だったり、《プシュー》という音だったりするらしいが、羨ましい事この上ない。騒音の一切ない所でないと無理だろうからなかなか難しいとは思うのだが、一度聞いてみたいものだ。
 2001年だったが、しし座流星群が騒がれていたとき、僕は先輩の家で徹夜で飲んでいた。原付を持っていない頃だったので、明け方に自転車で帰る事にした。チャリをこいでいてふと上を見上げると、流れ星が流れた。こんなに明るい空なのに、こんなにはっきりと見えるものなのか?と僕はまだ車が走っていない道路の真ん中で自転車を止め、しばらくぼけーっと流れ星の朝焼けを眺めた。ひっきりなしに、本当に雨のように流れ星が降る。一度に2つ、3つが同時に流れ、時には並走し時には放射状に飛び散る。明るくなるまで見上げていたが、今思い出しても不思議な光景だった。