Thee Rang 跡地

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物価ってなんだっけ

 ーパーへ買い物に行って、いつもどおりの買い物をする。支払いが終わってふとレシートを見ると、「なんだか最近物が高いなあ」と思ったことがある人は多いだろう。記憶に新しいのは2006年頃からの原油価格高騰によるガソリン値上げ、それから2007年頃からの原材料費高騰による食糧品値上げやサブプライムローン問題による物価押上げだろうか。ガソリンの値段が乱高下するのはもう慣れっこなのでなんともないが、食糧品値上げに関しては普段行きつけのレストランが値上げに踏み切るなど面食らった人も多いはず。
 僕もそのうちの一人で、このころたまにいっていたパスタ屋さんが、価格を50円上乗せしだした。それは説明がかいてあったからまあ別にいいかと思ったのだが、あろうことかしばらくすると麺の太さまで細くしていた。さすがにこれでは食感が全然変わってしまうので、もうその店には行かなくなった。今はもう戻っているのだろうが、一度行かなくなった店にはなかなか足を運ばない。

 感覚的には誰もがなんとなく把握している、この「物価」という言葉。僕が大学のころ勉強していたマクロ経済でも物価(P)は大きな要素だ。物価が上がる(P↑)と需要が下がり(D↓)供給が過剰になる(S↑)という様なやつだ。
 ある日、ゼミの教授から問いかけられた事がある。「あたりまえのようにPを使っているが、じゃあPは誰がいつどうやって決めるのかわかる人?」この問いかけには、誰も答えられなかった。「じゃあ興味のある人は調べてみたら。」という答えが帰ってくる程度だったが、調べてみるとすぐに分かった。これは、「消費者物価指数」というものによって決定され、総務省によって毎月作成されている。

総務省HPより ホーム > 統計データ > 消費者物価指数(CPI)
http://www.stat.go.jp/data/cpi/
消費者物価指数は、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものです。すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもので、毎月作成しています。指数計算に採用している各品目のウエイトは総務省統計局実施の家計調査の結果等に基づいています。品目の価格は総務省統計局実施の小売物価統計調査によって調査された小売価格を用いています。結果は各種経済施策や年金の改定などに利用されています。

 さらに以下は、超優良HPのひとつである「社会実情データ図録」より拝借*1した、日本の対前年同月比のCPIと、各国の同様の指数をグラフ化したもの。省庁の統計情報(例)は一般的に分かりにくいものが多いが、このようにデータを取り込んでグラフ化する事で非常に分かりやすくなる。





 なお、上グラフの灰色の折れ線はCPI、赤色は生鮮食料品を除いたコアCPI、青色はエネルギーも除いたコアコアCPI。生鮮食料品とエネルギーは天候だとか中東情勢だとかによって値動きが激しいので、このような指数を作成している。(下表にあるのは各国CPI。)ご覧のとおり、2010年末に持ち直しの気配を見せているものの、日本のコアコアCPIはリーマンショック以来下落の一途である。残念ながらデフレ脱却はまだ先の話といえる。
 こういう図表の読み方はシンプルで、日本、各国ごとに動きの激しい時期に何があったかを思い出して、その関連性を探ってみればいい。上述のサブプライム・ローン問題、それから2008年9月のリーマン・ショックが世界各国のCPIに大きな影響を与えている事がわかる。ごくごくシンプルに、各国はリーマンショック以前の物価指数まで徐々に戻しているのに対し、黒線の日本は立ち遅れてしまっている。これは各国に比べ政治の混乱があったこと、円高が継続したことなどが要因かななどと想像がつく。
 日銀の量的緩和政策もそうだが、各国の中央銀行や政府はこの消費者物価指数を横目に見ながら政策を練る事が多い。そういう意味で、我々にとってとても大事な指数のひとつといえる。

 なお、日銀が発表している「企業物価指数」は、卸売物価指数といわれていたもので、購入者が企業の場合の物価指数である。こちらも日銀HPに詳細レポートが掲載されているので、一読の価値がある。

 日本銀行 ホーム > 政策・業務別 > 調査・研究 > > 物価関連統計 > 物価関連統計 | 企業物価指数
 http://www.boj.or.jp/theme/research/stat/pi/cgpi/index.htm

 このような数値にあまりセンシティブになるのもつまらないが、あまりに無頓着すぎるのもつまらない。ニュースを呼んでいてこのような指標が出てきたら、謎のままでおわらせずにどこがどうやって調べて発表してるのかくらいはググって調べて、覚えておくようにしたいもんだ。
 ご参考、こちらは東京の物価。

東京都区部消費者物価指数
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/bukka/2010/bk10b1data.htm

*1:本来ブログのソースは原典に当たるのが正しい姿勢だと考えているが、数値をを取り込みグラフ化するとなると時間がかかりすぎるので、アセット活用という意味でちょくちょく二次、三次ソースから引用する。ただし、僕の判断基準で信頼できると考えたところのみとする。