Thee Rang 跡地

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から騒ぎの送別会

 日、仕事がえりにチームメンバーと居酒屋で晩御飯を食べていたら、横のテーブルでサラリーマンが十数人いて、送別会をしているようだった。

よくある光景といえばよくある光景だった。主役を取り囲み、わいわいがやがやと失敗談やエピソードなど思い出話に花が咲いていた。

とても楽しそうだった。みんなが笑顔で、送り出されるであろう人も満面の笑み。はたから見るぶんには、もうちょい静かにしろっていう位にぎやかだった。


しかし、どうしても隠しきれない空気が漂っていた。


淋しさと、不安さに満ちた空気だった。


見ていて思ったが、恐らく、皆がさみしくてつらい送別会ほど、無理をして明るく振る舞い、感情を押し殺そうとするんだろう。必要以上に大騒ぎする彼らの顔は一様に笑顔だったが、心の底の虚しさをなんとか押し殺そうとして大声を張り上げているいるようで、見ているこちら側はなんとなくしんみりとした空気になってしまった。

そのうちお開きとなり、カチョーなる人物の一本締めで幕を閉じた。なんというか、中間管理職らしく、温かくて勇ましい、よい掛け声だった。

そのうちに、誰ともなく記念撮影が始まった。主役を囲み、俺も俺もと次次に周りに集まり、パシャパシャ写真を撮っていた。名残惜しいようで、なかなか皆店を出ようともしなかった。

彼らは、いつかあの写真を見て、離別の淋しさにはにかんだ笑顔を思い出すのだろうか。そんな彼らも、いつかは誰かに送り出される事もあるんだろうな。


全き他人の名も無き別れに、僕は彼の前途が明るく開けたものである事を祈った。