Thee Rang 跡地

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中国式事故処理の戦慄

 国で重大な列車事故が発生した。死者は数十人と言われているが、画像をみるかぎりとてもではないがそんな程度で済むとは思えない。あのJR福知山線の事故でも、107人も亡くなった。先頭二両が線路脇のマンションに飛び込むという凄惨な事件ではあったが、今回の中国の事故も、衝突事故が発生した上に、高架から数両落下している。
衝突の衝撃はもちろん、あんな高架から落ちると無事で済むわけが無い。どう控えめに言っても、落下車両に乗っていて助かるほうが奇跡と言える。

事故のスケールはもちろんの事、驚くべきは事後処理の方法にある。

なんと、23日夜に発生したこの事故の対応として、24日朝には、この事故を起こした車両を砕き、現場の畑に掘った穴に埋めてしまったのだった。

通常であれば事故原因を探るのにもっとも雄弁な資料となる事故車両を砕いて埋めるという事は、考えられる可能性としては

  1. 原因は実ははっきりしていて、それを秘匿する方が重要
  2. 原因がわかってしまっては困るので、永遠に原因追求ができないよう意図した

のどちらかだろうか。おそらく前者じゃないのかなあとは思うのだが、真相は誰にもわからない。

しかし事故現場で、堂々と事故車両を破壊し埋めてしまうというのは、大抵の国ではまず起こりえない。おそらく犠牲者も十分に捜索できていないと思うのだが(現に行方不明者については全く情報が出されない)、ものすごい強権だ。メディアの貴社がこれを目撃していなければ、文字通り葬り去られてしまっていたのだろうか。
さらに、犠牲者遺族への賠償金もぶっとんでいる。一人あたり625万円程と、中国にしては破格の金額を提示しているらしいが、交渉が長引けば長引く程金額が低減していくという。当然遺族の多くはそれでは納得しないだろうが、このまま交渉が長引いてしまっては、国際的な関心が薄れていく中、賠償金がどんどん減っていく。ひょっとしたら、もうもらえなくなる可能性もある。彼らに交渉の余地など無いに等しい。一旦合意してしまえば、あとは政府が『犠牲者遺族には十分な賠償を行い、理解を得た』として発表すれば良い。

中国は日本やドイツ・フランスから高速鉄道の技術を取り込み、独自技術を確立したとして北京-上海間で運行実績を積む事で、今後の国際展開に意欲を見せていた。現段階では20兆円以上の赤字を生んでいるこの事業だが、今後関係諸国に売りつける事を見込んで国家的に推し進めていた事業だった。事故を起こした部分を含んでいるかどうかはわからないが、オープンの際は胡錦濤国家主席も搭乗したという。

開通以来細かいトラブルが絶えなかったが、ここへ来て重大事故へと発展してしまった。
犠牲者の方々のご冥福を祈ると同時に、今の政府の下ではかなりのぞみが薄いとはいえ、再発防止のため適切な事後調査が、迅速に行われる事を祈りたい。

しかし、路線が路線だけに、乗客は決してプアな層ではなかったろう。中〜上流階級の乗客も多数いたろうが、しかしそれでもこの強引な事後処理だ。驚きというほかない。