Thee Rang 跡地

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升田幸三という棋士

 王戦が盛り上がっている。
先日の深浦九段VS佐藤九段の戦いなど、息を飲むようなせめぎあいだった。201手という大一番で、深浦九段が勝利した。

2011年7月26日 第24期竜王戦決勝トーナメント

深浦康市九段 対 佐藤康光九段
http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/ryuou20110726.html

僕の将棋は下手の横好きの典型のようなやつで、いくらやっても強くなったと感じる事がない。最近はiPhoneからネット経由でいろんな人と指せるので、勝ったり負けたりするのだが、ネット対局は感想戦や指導を受けたりできないので、どちらかというと力試しの場のような感じがする。

将棋は強くなりたければ勉強するしかない。終局は詰将棋で読みを鍛え、序盤は囲いや戦略を覚え、実践で磨いていく。ちゃんと計画立てて順番通りやっていかないと強くならないようにできていて、ほんとによくできたゲームだと思う。

僕の好きな棋士に、升田幸三という人がいる。とても強く、異色ぞろいのトップ棋士の中でもひときわ輝く棋士だった。

升田幸三 - Wikipedia


升田 幸三(ますだ こうぞう、1918年3月21日 - 1991年4月5日)は、将棋棋士。実力制第4代名人。広島県双三郡三良坂町(現三次市)生まれ。〜中略〜 三冠独占などの輝かしい戦績は勿論のこと、その独創的な指し手、キャラクター、数々の逸話は、将棋界の歴史を語る上で欠かすことができない

彼の棋風は、『新手一生』という言葉にこめられている。この言葉が表すのは、既存の手ばかり指して精密な将棋をするのではなく、まだ誰も指したことが無いような新しい一手を打つことで、新しい境地を開拓しようという心意気だ。
僕はこの言葉が大好きで、ついにはこれが揮毫された扇子を買ってしまった。猛暑の折、大活躍してくれている。

「魅せる将棋」を大切にし、既成の定跡にとらわれず「新手一生」を掲げ、常に序盤でのイノベーションを数多く起こした。〜中略〜 有名な新手には升田式石田流、雀刺し、急戦矢倉、棒銀、ひねり飛車、対ひねり飛車タコ金、角換わり腰掛銀升田定跡、駅馬車定跡、居飛車穴熊[3]などがある。その功績を記念して、毎年行われる将棋大賞にて、新手や新戦法を編み出した棋士を表彰する「升田幸三賞」が、升田の没後3年余り経った1995年(1994年度)から設けられている。

例えば、仕事でよく思う事の一つに、考える指向性の違いというのがある。傾向として一般に、日本人は精密で間違いのない議論を好み、アメリカ人は大胆で大きな飛躍を好むという。升田幸三はまさにこの大胆で大きな飛躍を目指すというタイプの人で、将棋の寿命があるとすれば、それを300年も縮めたと言われている。

僕自身を振り返って考えてみると、もともとが楽観的なので(DiSC分析でいうとモロにi)大胆とか斬新とかが大好きなタイプだ。しかし、仕事では何十年も前からの作業をただひたすらコツコツやるというのも経験し、だいぶん堅実さや確実性を追求する楽しさにも気づいてきて、今の自分はその2つがちょうどよく折衝できていると思う。将棋にも仕事にも家庭にも、両方の良いところを臨機応変に適応させていく柔軟性を身につけたいもんだ。