Thee Rang 跡地

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戦争がなくなる日

 本は今年もまた終戦記念日を迎えた。先の第二次世界大戦では、世界中で約6000万人もの犠牲者がでた。日本人は、約310万人が犠牲になっている。先日の大震災による犠牲者が3 万人弱だった事を考えると、第二次世界大戦とは、文字通り未曾有の国難であり、日本史上最大の大事件だったと言えるだろう。

日本は今、戦後66年目を生きている。戦後高度経済成長期という時代を経て、失われた十年といわれた歳月を経て、未曾有の大震災に見舞われた2011年を生きている。かつて兵士だった僕の祖父は会社を引退してTVで時代劇をみて楽しんでいるし、その息子である僕の父親ももうすぐ定年退職をする歳だ。戦後66年、祖父と父が生き抜いてきた証が、僕という存在だ。

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〜戦争をしらない子供たち〜 By ジローズ

そう言う僕らは戦争を知らない子供達、・・の、さらに子供達なのだが、一つ明らかに分かっている事がある。それは、戦争は減らすことが出来ても、無くなっていないし、これからなくなることもないだろうという事だ。

人類あるところに戦争あり
人間社会で、いじめや排他がなくなる事は決してない。これらは人間の生理現象の発露としてのごくごく原始的な自然現象で、人類が種を保つために、こういった排他性はとても大切なものだったのだろう。異種を排除し同種の統率を図り、集団として生存可能性を高める行為は、どの動物でも自然に見られる。

それがたまたま、手に剣や銃を持ち、飛行機で爆弾を落とし、ミサイルに核弾頭を積んだ程度に、多少スケールが大きくなったのが戦争に過ぎない。健全な人間社会であれば、大小は問わず戦争は決して絶えることは無い、これまで絶えることが無かったのだから、今後も絶える事はない。現に、戦争や紛争の話はよくニュースで見聞きするものの、世界から戦争が絶えたという話など、ついぞ聞いたことが無い。

しかし皮肉にも人類は、その手に持つ武器が進化しすぎて、自らも傷つける危険性が出てきた事で、武器の行使が躊躇われるという段階にまで達してしまった。核兵器の行使はすなわち、自らの国が核攻撃される事を意味する…となれば、誰も核兵器を使用しなくなる。つまり、戦争はここで抑止されるわけで、人類の理想としていた恒久平和というのは互いの武力が最高潮に達し、その武力の影響力を前提として、成り立つかもしれないものとようやくわかった。あと300年観察してみれば、それがほんとかどうかうっすらとわかるかもしれない。

66年間の戦争放棄
日本は憲法第九条を有する、世界でもまれに見る非戦主義国だ。

1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

これは日本が二度と大国に歯向かうことの無いよう、そして大きな国になることがないよう、大国のエゴにより定められた不条理な律文ではある。
しかし、究極の武力が実現する事により、その大国の庇護を受ける事を前提として、日本のようなこんな小国家ローリスクハイリターンな平穏な時代を手に入れられた事は真に僥倖だった。
これを安保闘争核の傘だ、となんだかんだ異を唱える向きも無くは無いが、核=悪という概念は、中世の魔女狩りに通じるものがある気がしてどうも受け入れられない。世界的な植民地主義の廃退期にあって、この『核の傘』は、日本にとって独自の技術、経済成長、そして国家としてのプライドを維持・発展させていくための、大いなるゆりかごだったと言える。

平和を唱える意味
ジョン・レノンは、イマジンという曲の中で、『国が無くて、殺す理由も死ぬ理由も無く、宗教も無い、さあ想像してごらん、 みんながただ平和に生きている世界を。』…と歌っている。老若男女、洋の東西を問わず多くのアーティストが反戦平和を掲げ活動する。たとえ人間の本能として戦争がなくなることは無くとも、中長期的に見て戦争の頻度が少なくなったり、戦争での被害者が減ったりする事は十分に効果として考えうる事だ。
こういった反戦運動は、時に不要な政治的思想や、権力批判、日本史への不当な批判などが紛れ込んだりとアクが出る事もある。皮肉屋はそういったものを斜に構えて見るかもしれないが、歌や絵を通して純粋に平和の尊さを訴える事が、将来の戦争抑止に少しでも効果があるならば、それは尊いことと言って良いと思われる。

もちろん、国のために命を捨てる覚悟で戦争に望んだ僕の祖父やその仲間たちを、悪く言うような向きは許せない。彼らの時代があったからこそ、今の我々の時代がある。日本兵の多くの人達も、日本兵に倒された多くの人達も、彼らの血肉は今の我々の平和な生活の礎となっている事を忘れてはならないし、その気持は反戦平和思想と決して矛盾するものではない

1985 今、この空は神様も住めない 
そして海まで山分けにするのか 
誰が作った物でもないのに
1985 クリスマスまでに 
サンタクロースのおじいさんの 命が危ない
1985 選挙ポスターも
1985 あてにはならない



1985 By ブルーハーツ

ブルーハーツのこの曲は、適度に青臭くて、適度に達観していてとても好きだ。


今年は靖国に行けなかったが、桜の季節にまた行こう。