Thee Rang 跡地

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符牒浪漫

 「すいませーん、おあいそお願いしますー。」
飲み屋なので会計をする際にこういう事をいう人がいるが、コレは正しい使い方ではない(あまり日本語に正しい正しくないを言う主義では無いのだが、現代では少なくとも誤りと言える)。正しくは、「お会計お願いしますー」と言う。なぜかといえば、『オアイソ』というのはあくまで店側で使う店員同士の業界用語であって、客がそう言うのは逆に店にとって失礼に当たる事があるから、だ。

という話は結構、有名だ。

符牒という暗号
この『オアイソ』のように、特定の業界や団体の中でのみ通じる特殊な意味づけをされた言葉を、符牒(符丁とも書く)と言う。目的としては、例えば店員同士の会話で、部外者である客に知られてはまずい事をやりとりする時や、煩雑な内容を手短にやり取りする時などに使われる。

他にも、業界別に結構色々ある

デパートなど


  • 「2番」「4番」「つきあたり」「遠方」「素見屋(すけんや)」=トイレ
  • 「のじ」= 昼食
  • 「にのじ」=休憩
  • …他にも、万引き犯や雨が降ってきた事、さらに時間を知らせる合図まで、客にとっては何のことだが分からない館内放送で情報交換すると言う。たとえば館内の場所を伝える時など、架空の人物や特徴、電話番号などで暗に知らせる事などもあるという。

なるほど、いかにも合理的ではある。

寿司屋


  • ガリ - ショウガのこと。
  • ガリ - お茶のこと。
  • シャリ - 酢飯のこと。
  • ムラサキ - 醤油のこと。
  • ナミダ - ワサビのこと。
  • お手元 - 箸のこと。
  • おてしょう - 醤油皿のこと。
  • きづ - かんぴょうのこと。京都の木津川地方が名産と-いうことから来ている。

旧日本海軍


  • 「GF(連合艦隊)」
  • 「赤レンガ(霞が関にあった海軍省)」
  • 「レス(料亭)」
  • エス(芸者)」
  • 「ケップ(キャプテン・艦長)」
  • 「マリる(結婚する)」
  • 「CO(コーヒー)」
  • アドヴァンス(給料の前借り)」
  • 「マイナス(借金、付け。戦死した士官が料亭などに遺した「マイナス」は兵学校などの同期生が肩代わりして「マイナス」を支払うのが慣例で、戦争中は「○○(人名)のマイナス全部でいくつある?」になると「○○は戦死した」という婉曲表現にもなったという)」
  • 「ホワイト(芸者以外の、所謂素人女性。芸者などの「玄人」はブラックと呼んでいた。

・・・等がある。
つまり、以下のような会話が交わされていたわけだ。

「こないだよー、レスのエスにマイナスしてたのをアドバンスして返そうとしたらさー、なんとそのエス、GFのケップとマリるとか言い出してね。ほんとCO吹いたよ」

飛行機


  • デッドヘッド - 航空会社の操縦士や客室乗務員などの社員が、業務中の移動のために旅客機に乗客として搭乗(乗務)すること、または搭乗した社員のことを指す。業務の一環として乗客として搭乗した社員を、「(有償旅客としての)頭数に数えない」という意味から来た英語であるが、基本的に航空会社であれば国籍を問わず使用している。なお、日本の一部の航空会社では「便乗」という符丁が使用されることもある。
  • ギャレー - 旅客機内で食べ物の調理や準備をする場所である。本来は厨房のこと。多くの航空用語と同様に元々は船舶用語で、船や潜水艦、地上にある海軍基地のキッチンもギャレーと呼ばれる。
  • クルーミール - 乗務する操縦士や客室乗務員用の機内食
  • クルーバンク - 乗務する操縦士や客室乗務員用の休憩室。ボーイング747-400やエアバスA340などの大型機では、機体後部や下部に簡易寝台付きの個室が用意されている。
  • UUU - 「Urusai」の3連続で、注文の多い客について注意を促す略語。

符牒はあなたのそばにも。
こないだ印刷業界の業界用語を紹介した事があるが、こういった符牒は業界用語という括りで見て間違いはない。と、言うことは、普段働いている我々の会社でも、必ず日常的に使っている符牒があるはずだ。
多分、あまりに自然に使いすぎて符牒とは意識していないものもたくさんあるだろう、一度違う業界の人と話をするときに、こういった所を意識してみると新たな発見があるかもしれない。