Thee Rang 跡地

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田部井淳子さんと12人の英雄

 『エベレスト・ママさん』は、先日散歩にいった折何気なく購入した一冊の文庫本だったが、昨夜何気なく手にとって読み始めるとおもしろくてやめられず、読了後大変な感銘を受けた。内容は、田部井淳子さんという女性の登山家の方の半生記のような物で、山との出会いから、エベレスト登頂を終え一躍時の人となるまでがご自身の言葉によって綴られている、というものだ。

 田部井 淳子(たべい・じゅんこ)
1939年福島県三春町生まれ。昭和女子大学英米文学科卒業。69年「女子だけで海外遠征を」を合言葉に女子登攀クラブを設立。75年エベレスト(中国名・チョモランマ)日本女子登山隊副隊長兼登攀隊長として、女性で世界で初めて登頂に成功。92年には、女性で世界初の7大陸最高峰登頂者となる。現在も年に7、8回海外登山に出かけ、41か国の最高峰を登頂している。75年ネパールから最高勲章グルカ・ダクシン・バフ賞、95年内閣総理大臣賞など受賞多数。 著書に「エベレスト・ママさん」「はじめての山歩き」「山を楽しむ」など。環境省の中央環境審議会委員を務めている。


田部井淳子さん 記念撮影で実感したエベレスト登頂
http://doraku.asahi.com/kiwameru/camera/061124.html より引用

 登山において、女性が男性に比べ不利な部分は決して体力や技術の問題だけではない。日々の生活や家族、出産や育児などの制約が働くので、女性だけの隊でエベレストを狙おうというのは信じられないくらい大変な事なのだったが、田部井さんは意思さえあれば出来ないことはないと常に前向きに取り組まれていたのが印象的だった。
 僕はたまーにクライミングジムに練習に行っている(といってもまだ二回 笑)が、はっきりいってこの人らは超人だと思った。田部井さんも、当時隊長だった久野さん(旧姓宮崎さん)も、また他の隊員として登頂成功を支えた11人も。同じメンバーで過酷な状況下、幾日も切り詰めた生活をするとさすがに種々の問題が浮き上がってくるのだろうが、そういう描写もリアルなだけにひしひしとつらさが伝わってくる。それら全てを乗り越えて、無事全員が下山したというのはやはり凄い。先日、その女性初登頂30周年を記念してネパールで王族達を交えて式典に出席なさっていたが、それだけの偉業だという事だ。
 ちなみに田部井さんはその後も破竹のキャリアを築き、女性初の7大陸最高峰登頂の偉業を成し遂げた。登山暦を見ると驚くべきことに、昨年2006年に、ネパールの8163mのマナスルにもアタックをかけてらっしゃった。7000mまで行かれたという事だが、失礼は承知で年齢を計算してみると、61歳となる。エベレスト最高齢登頂はやはり日本人の三浦雄一郎*1で70歳だったはずなので、それを考えるとやはり超人と思わざるをえない。
 田部井さんのHPは、美しい桜の写真や穏やかな森の写真、険しい雪山の写真、悠久の屋久島の美しい写真に満ちている。非常に素晴らしいホームページだ。*2最後になったが、ご紹介。

home
http://www.junko-tabei.jp/home.html

*1:氏は、偶然にも初めて田部井淳子さんがヒマラヤに乗り込んでアンナプルナⅢ峰に登頂した際、エベレストをスキー滑降するというこれまたすさまじい偉業を成し遂げている。ちなみにその計画の総指揮官は現都知事石原慎太郎氏で、このとき田部井淳子氏は石原慎太郎氏にネパールの空港で会い、声をかけられている。これまたおもしろい組み合わせだ。

*2:ブログを書いてらっしゃるようだが、コメントの中の一つに「ずいぶんいろんなとこに登られてるんですね。自分は山歩きはじめてまだ2年ですが、また参考にうかがいますね。」などというコメントがあり、世界で最も偉大な登山家の一人に向かって何いうとんねん!と、一人つっこんでしまった。