Thee Rang 跡地

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絵本出版は儲かるん?

 近よく絵本を読むせいか、タイトルのようなことがどうも気になって仕方が無い。絵本を手にとって奥付けを見てみると、大抵が聞いたこともない書店による発刊であることが多い。絵本を取り扱う出版社というのはおそらくそれ一本でやっているのであろう事が想像できる。

絵本界隈には、マスターピースというか、ド定番というか、そういう作品がいくつかある。『百万回生きた猫』、『ぐりとぐらシリーズ』、『ひとまねこざる(Curious George)シリーズ』、『あかちゃんの遊び絵本シリーズ』などなど。エライもんで、年齢ごとにこういうマスターピースは存在していて、もうちょっと年次が上がって、幼稚園くらいになれば『エルマーのぼうけん』シリーズなどが有名どころだ(僕はこのエルマーのぼうけんシリーズが大好きだった)。

んで最近、一件絵本とは無関係な人が絵本を書いているとかニュースになって、ちょっと驚く事がある。最近だと『もやしもん』の石川雅之とか。他にもゆずの人とか、貴乃花とか、べっきーとか、、忌野清志郎とか、モー娘。のだれそれとか。

あれってなんでなんだろうか?作者にとってどういうメリットがあるんだろか。

  • 単純にもうかる
  • 純粋に絵本会に一石を投じたい
  • 簡単だからできそうだと気軽に始める
  • 他人からの強い要望による
  • 話題性を狙って出版社が強く要望する
  • 絵本で知名度を上げておいて、本業の漫画や芸能活動での収益増加を計る
  • もともと感性が豊かで、自らの子育ての際に触れた絵本に触発されて自身も表現したくなった

とか、こんなもん?

んで何気なくNETを見ていると、やはりどの業界にもおしゃべりさんはいるようで、下の様なページが引っかかった。興味深いので一部を抜粋しておく。

★絵本出版社の裏事情★ 2ちゃんねるの噂
http://www.uwasa2ch.net/book_manga/1026905988.html




じゃあ、お金の話(w
もうだいぶ前につぶれた出版社(絵本だけではない)に一時期いたんだけど・・・
著者に払うお金がないんで、奥付は初版のまま密かに増刷重ねてました。
思ったより売れなかったと嘆いていた著者様、ごめんなさい。

    • -

社長が内容証明なんかにビクビクするな!という精神だったから、その時は仮処分命令まで行って大変だったよ。
未払いは相変わらずだけれど、それでも内容証明がきたら払う、になった。



初版でギャラ40万円だよって言われました。絵描きが半分、文章が半分とる。
つまり、20万・・・これじゃあ、絵本だけでは生きていけないよね・・・
どうしようかなあ・・・

こんなこというと叱られそうだけど、児童文学の人々は志が高いぶん、商売が下手というか、この業界にいられればいいんだー、みたいな人が多いような気がする。なんつうか。
使命がー、とか、子どもたちがー、みたいなね。

いや、正直「ぐりとぐら」が年間2万部って事はないと思う。
少なく見積もってもその倍は売れてるだろうし、もちろんそれは単品の話。
今、シリーズは6作出てるんだっけ?で、その他になぞなぞの本やらカルタやらあいうえおの本やらいっぱい出てるでしょ?
あの姉妹はぐりぐら以外にもわんさか作品かいてるから大金持ちだろう。
絵本だけで食えてる作家だって結構居ると思うよ。いわむらかずお然り、黒井健然り。
バムとケロの島田ゆかやそらまめくんのなかやみわだって最近出てきた若手だけど十分食えてるだろう。

普通、出版社は、秋くらいに来年度の出版計画を立て、原稿依頼する絵本作家を選び、予算計画を立てるのです。
そしてこちらから仕事を依頼させていただく作家さんの作品はもちろん必ず本になりますが、。
ましてや、デビュー前の方の原稿など、読む時間もなければ、出版する余裕もないのです。
絵本一冊出すだけでも、数百万円の先行投資が必要なわけですから。
持ち込みよりも、むしろ出版社などが主催している、新人賞を狙ったほうが、いいと思いますよ。
少なくとも、必ず誰かが読んでくれますし。
編集部に送ってこられても、ほとんど目を通す編集者はいません。
編集者という人種は、本当に忙しいのです。

自費出版で出すのは個人の自由だが、そんなカンタンに、売れると思うのは、いかがなものか?
スカウトされるなんて、よほどじゃない限りありえない。
それに自費出版で4色カラーの絵本が、いくらで出せるか知ってるの?
最低でも200万以上。(2色やモノクロはまた別ね)
ネットで山ほど売れるなんて夢は、みないほうがよろし。
在庫かかえて泣くのがオチ。 *1
そんなので売れたら、本屋は苦労しません。
誰が無名の人の本を、高い金だしてかうのよ?

でも、それにしてもポプラには風当たり強いね。児童書が売れなくなったのはポプラのせいだってのは、弱小版元の常套句かな???
少なくとも音が出る絵本だのなんだの、まるで永岡書店みたいな安売り読み捨て絵本の量産は、業界の先細りに貢献しちゃってると思います。
絵本、児童書ただのおもちゃにしてしまったってことで。

児童書(絵本含む)が売れなくなったのは、再版制に甘えたのかどうか、定価の価格つけが高止まりした点にあると思います。
コミックにしろ、安い読み捨て本の席巻は、古本屋から読者を取り戻しこそすれ、業界を細くさせないのではないか、あるいは既に充分しぼんでいると思います。

ポプラは女性編集者がいきいきと働いていますね。
それをとても羨ましく思っています。あるいは、それが秘けつかも知れません。



福音館の現状は松居直が全盛期だった頃の遺産食いつぶしてるだけだから
現に、今うちと取引のある園は多かれ少なかれ過去のイメージで買ってくれてるからね
ここ数年で面白かった絵本は?ってきいて即答できる先生は少ないと思うよ


などなど…、絵本業界の人もストレスたまってんだろうなあって書き込みが山ほどあった。これ見てると、とても作家とか出版社が絵本をどさどさ出してがっぽがぽって訳では無さそうだなあ。少なくとも儲からないんだろうなあ。

幼稚園、保育園、図書館、公共建物備品への卸利権とかそういうドロドロな話あると思ったのに。(局所的にはあるんだろうけども。)

ドロドロな話も暴露されないくらいもうからない絵本業界、しかしそれでもせっせと絵本をかき、せっせと出版する製作者の方々。少子化と不況ででものすごく大変なご時世なのだろうが、ぜひともこの素晴らしい文化を継承していって欲しい。

…上のリンクを読んでいて、絵本の出版を志す人の書き込みがアツかった。『バクマン。』の絵本バージョンみたいなの、あのタッグで書いて欲しいなー。もしくは作画:福本伸行とか。(そういえば、もし福本伸行が絵本とか書いたら、どんなんになるんだろう・・・。『その時…!圧倒的閃きっ…!!それほどの閃光…光が…ものまねこざるの脳を刺す…! 』とか、舌切雀が『勝算もなく…流れも悪い今…張りは限界まで落とさなければならない、なのに婆さんは「大きい方のつづらを選ぶ」と言う…、この余分な「大きさ」の分…これは婆さんの心の贅肉…見栄というもの…、ククク…、死ぬぞっ…!』とか言ってんのかなあ。)

*1:長谷川町子が、当初サザエさんの在庫で脚が伸ばせて寝れなかったってエピソードを思い出した。