Thee Rang 跡地

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ショート・ショートはどんだけショートか

 新一という偉大な作家がいる。ショートショートの神様と言われ、未だに多くの人々が彼の新しいファンとなっている。寓話的、かつ普遍的であり、ただ読んでいて面白いというだけでなく、社会風刺や、人間の業への皮肉のようなエッセンスも兼ね備えた、するどいと形容されるような作品も数多い。
 …というのは前置きとして、この『ショートショート』というジャンル、僕はイマイチ定義がよく分からなかったのだが、Wikipediaで読んでみてなんとなーく分かった気がした。
"雑誌『小説現代』のコンテストでは400字詰め原稿用紙7枚まで、雑誌『SFマガジン』の読者投稿コーナーでは400字詰め原稿用紙5枚程度"
とあるので、これは思った以上に短い。小学生の作文でも原稿用紙2,3枚はすぐに到達する。思った以上に、構成力と表現力が問われるものらしい。
まあしかし日本が誇る世界最短?の文学、『俳句』はたった17文字だし、それにさらにドラマ性や言葉遊びなどの趣向を加える事を可能とした『短歌』だって、ほんの31文字…という事を考えれば、このショートショートもまあそんなもんかな、と思わないでもない。英語と違って文字に意味を込めることができる日本語(や中国語)は、短い文章で多くの事を語るのに向いている言語だ。これは、Twitterなどでもわりとはっきり見て取れる。

例えば僕のエントリは
過去のエントリを見てみよう。例えば、最近書いた『ペットボトルでお茶飲もう』というエントリは1651文字、『セレンディピティな経験を』は1597字、『戦争がなくなる日』は、2229文字。こうして見ると、原稿用紙は4〜6枚分くらいの量を1エントリあたり書いている事になり、すでにショートショートの文字数制限に近い、もしくは超えるものになってしまう。ショートショートならセリフなどもある程度は入るだろうから、実質的に使える文字数はもっと少ないものと考えられる。
星新一は、1,001話以上のショートショートを残したというが、僕もこのブログを全部ショートショートにして、かつ三年くらい続けたら、文字数だけで言えばそれくらいの本数を書くことができるらしい(もちろん品質は比ぶべくもなし)。
読んでみよう
ショートショート風呂』というサイトからの引用。

ファイヤーバード | http://cab10.seesaa.net/article/44344163.html

老作家 | http://cab10.seesaa.net/article/120016887.html

と、こんな感じで、短い文章なのに深い味わい?があり、時には読者を欺くようなセンスが必要になるものだ。ある種ギャグマンガのようなものだが、そのぶん気軽に読めて面白い。

書いてみよう
しかし書くとなるとこれは相当難しい。ブログのように好きな事を好きな様に書いていてはダメで、読んでいる人が求めているエンターテイメント性をきっちり備えていないといけない、という事になる。まるで、中学生が教室の前に呼ばれ、教師から『いまからこの黒板に、クラスの皆が笑えるような絵を書きなさい』と言ってるようなもんで、掴みどころがなさ過ぎで困る。こんなのをどんどん産み出していくには、鋭い観察眼をもって日常のいろんな事象からメタ的な解釈を生み出して、思考実験を繰り返す必要があるだろう。氷山は、海上に出ているのはほんの数%の部分だけだというが、きっとショートショートも、文字となって現れるものは、その作品を書くのに必要とした思考のほんの数%に過ぎないのだろう。

とても簡単そうに見えるが、おそらく書いてみるとものすごく難しい。…がしかし、原稿用紙5枚分というのはすなわち2000字程度で、これはTwitterのつぶやきの15倍ほどでしかない。つまり、一日に15回以上つぶやく人は、その文字量でショートショートが書けてしまうといえる。
Twitterで物足りないと感じてる人には、ぜひぜひ挑戦してみてほしいなー…。